プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷敬遠→村上勝負の屈辱…それでも村上宗隆を侍ジャパンの4番で使い続けるのか? WBC韓国戦、快勝の裏で迫られる栗山監督の重い決断
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/11 17:25
WBC1次ラウンドでは2試合ノーヒットの村上宗隆。侍ジャパン4番を託された主砲の今後の処遇は…
連続四球にラーズ・ヌートバー外野手と近藤の連続タイムリーで1点差とした3回だ。無死二、三塁で打席に大谷を迎えると、韓国ベンチは先発左腕の金広鉉投手を諦めて、2番手の右の元兌仁投手にスイッチ。その上で大谷を歩かせ、満塁とした上で村上との勝負に出たのである。
プロ入り以来、目の前の打者が敬遠されて自分で勝負されたのは初めての体験だった。しかしこの場面もカウント2ボールから外角高めの147㎞の真っ直ぐに手を出して遊飛。タイムリーはおろか、犠飛すらも上げられずにスゴスゴとベンチに戻るしかなかった。
結局、この日は6回の無死満塁で何とか左犠飛を打ち上げて1打点をマークしたものの、5回の無死二塁は二ゴロ、7回の1死満塁では外角高めのボール気味の球をストライクと判定されて見逃し三振と4度の得点圏のチャンスでノーヒット。1次ラウンド2試合で本塁打どころかヒットもまだ1本も出ていない大スランプ状態なのである。
宮崎キャンプから続く村上の不振
実はこの不振は宮崎での事前キャンプからずっと続いている。
2月21日に行われたダルビッシュのライブBPではいきなりセンターバックスクリーンに“公開処刑弾”を放って、さすがと思わせた。しかしその後もずっとフリー打撃の状態は良くないままに実戦に突入。2月25日のソフトバンク戦から3月6日の阪神戦までの5試合で16打数2安打の打率1割2分5厘と低迷を続けてきた。
7日のオリックス戦では「メジャー組に打席を回すため」(栗山監督)と吉田に4番を譲り、6番に入った。その第1打席で待望の左越え本塁打を放ったものの、その後は3三振に左飛と再び迷宮に迷い込んでの開幕だったのである。
気になったのがオリックス戦後の会見での本人の言葉である。