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大谷翔平(28歳)の“新世代ムードメーカーぶり”がスゴい…「自然体でさりげない」気遣いにヌートバーは感謝「ショウヘイが、いいね!って」
posted2023/03/09 17:04
text by
佐藤春佳Haruka Sato
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スポニチ/アフロ
二刀流で開幕出陣――。球史に名を刻むその瞬間を控え、前日8日の公式会見に出席した大谷翔平が答えた最後の質問は、自分のことではなくチームメートに関するものだった。日系人初の日本代表入りを果たしたラーズ・ヌートバーについて聞かれた大谷は、口元に少し微笑みをたたえながらも、その言葉に力を込めた。
「明日の試合でまず、声援が大きければ大きいほど、やる気にもなるでしょうし、自分が日本という国に受け入れられてもらえているのか、本人もわかると思う。ぜひ、素晴らしい声援を送ってもらえれば、僕としても嬉しいかなと思います」
シュアな打撃とナイスガイぶりで日本の野球ファンの心を掴んでいる“たっちゃん”。既に注目は高まっているが、スーパースターの大谷が「僕としても嬉しい」と言うのなら、向けられる声援はさらに熱量を増すだろう。海を渡って日の丸のユニフォームを纏い、「日本代表」としての戦いに挑むヌートバーを後押しするべく、ファンにさりげなく呼びかけたその言葉は、友情の証であり大谷流の気遣いだった。
大谷からヌートバーへ、優しい気遣いの数々
「ヌートバーをよろしく」
左脇腹痛の影響で代表を辞退した鈴木誠也(カブス)から、そんな電話を受けていた。当初は、同学年で日本ハム時代から仲が良かった鈴木と共にヌートバーをサポートするつもりだったのだろう。どちらかといえば、投打二刀流に忙しい大谷より、同じ外野手であり、ムードメーカー的な性格である鈴木の方が、その役割を多く担うつもりだったと想像できる。
“お世話係”は一人になってしまったが、大谷は共にチームに合流した3日から、常にヌートバーを気にかけていた。試合前練習の流れ、チームミーティング、直前にベンチで組む円陣、勝利した時のハイタッチの儀式……。プレーする野球は共通言語でも、日本と米国ではプレーする選手たちが気にせずやっている習慣にも違いがある。ヌートバーが少し戸惑った表情を見せると、大谷はすっと側に寄り、少し声をかけて自然と輪の中に入れるよう背中を押す。その気遣いは常にさりげなかった。