その78度の中で転倒はゼロ。1つもない。成功に至らなかったのは、軽微な回転不足と言える「q」マークがついたジャンプ4度のみ。つまり78度中74度の完全な成功を誇る。大技2つ以外のジャンプの精度がどれだけ高いかを証明している。

　島田は、転ばない。それを実現できているところに、練習の成果がうかがえるし、大技の失敗を引きずらない芯の強さを思わせる。

今まででいちばんの緊張でした

　全日本選手権では、14歳であり、初出場であることを思わせる言葉や光景もあった。

「初めて全日本に出場して、初めてたくさんのお客さんの前で演技をして、すごく緊張して」

「今まででいちばんの緊張でした」

　緊張、という言葉を何度も用いた。記者会見ではマイクのスイッチを入れ忘れて笑顔を見せ、表彰式では台に乗る方向を間違えるひと幕もあった。それらは歳相応のキャリアを思わせた。その一方で演技における内面は異なる。

最初に出られる五輪は2030年

　一昨年、近畿選手権のときには「オリンピックで金メダルを獲りたいです」と目標を語った。

　ただ、出場できる年齢が昨年引き上げられ、最初に出られるのは2026年から2030年と4年ずれることになった。

　それでも「年齢とか気にしていなかったので」と動じない。

「1位を獲り続けたいです」と抱負を語る島田は、冷静に、来シーズンのユース五輪を目標として見据えている。

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