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14歳で今季“世界最高得点”、島田麻央は“何がスゴイのか?” 大技だけじゃない「ジャンプ78回で転倒“ゼロ”」「年齢とか気にしていなかった」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/03/07 17:24
世界ジュニア選手権を史上最年少の14歳と4カ月で優勝、今シーズンの世界最高得点を叩き出した島田。一体、その強さはどこから来るのか
ジュニアに転向した今シーズンはジュニアの大会では全勝、シニアとともに競った全日本選手権で3位と大健闘。その活躍を経て臨んだ世界ジュニア選手権だった。
「1回転ができたら2回転、2回転ができたら3回転と、限界がないところ、努力に限りがないのが好きです」
ジャンプを例にとりながら、島田はフィギュアスケートに感じる魅力をこう表現している。その言葉の通り、練習に真摯に取り組んできた。特徴としてよく指摘されるのが身体のバランスのよさ。持ち合わせたセンスと努力が合わさっての快進撃であるだろう。
失敗したら勝てないという試合が多くて…
印象深い言葉がある。
「私は2年前くらいからトリプルアクセルに挑戦したり、4回転ジャンプに挑戦したりしてきました。挑戦するジャンプ以外は失敗したら勝てないという試合が多くて、その経験をたくさんできているので、ミスを引きずらないようにできたのかなと思います」
ジュニアグランプリファイナルで優勝したあと、ミスしても引きずらない、崩れない理由を尋ねられての回答だ。
大技以外は失敗しない
全日本選手権ではこのように話している。
「最初のふたつのジャンプ(トリプルアクセル、4回転トウループ)は降りても降りられなくても“ないもの”だと切り替えました」
この大会のフリーではトリプルアクセルと4回転トウループ、いずれも転倒した。
4回転トウループ、トリプルアクセルはやはりまだ失敗のリスクを伴う。そうである以上、他のジャンプは失敗できない、つまり他のジャンプがきちんと跳べることが島田の中では前提条件になっている。
大技以外は失敗しない――それを体現できていることは数字が表している。
島田は、転ばない。
今シーズンはジュニアグランプリシリーズ・チェコ大会を皮切りに計6試合に出場している。
大技にあたる4回転トウループ、トリプルアクセルを除き、例えば2連続のコンビネーションジャンプを2つのジャンプと計算すると島田は今季、公式戦で計78度、ジャンプを試みている。