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「アメフトでもNFLを狙えた」ヌートバーはなぜ野球を選んだのか? 本人に聞いた“決定的な理由”「フットボールは大好き。でも…」
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2023/03/02 17:00
写真は高校時代のラーズ・ヌートバー。野球だけでなく、アメリカンフットボールでも将来有望なQBとして注目を集めていた
USCは、アメフトにおいても多くのNFL選手を輩出した全米屈指の名門として知られている。ましてやヌートバーのポジションは花形のQBだ。トム・ブレイディやパトリック・マホームズは、高校時代にMLBのドラフトに指名されながら、カレッジフットボールを経てNFLを代表するQBとなった。
当時のコーチは「彼(ヌートバー)は野球でドラフトにかかる選手だが、フットボーラーとしての未来も明るい」と言っていた。どれだけ野球を愛していても、心が揺れ動くのは当たり前のことだった。
父は「怪我がなければNFLにも行っていた」
ヌートバーは両親に相談した。もちろん野球はやりたいが、小学6年生から始めたアメフトも大好きだった。いくらコーチに怒鳴られても、骨折しても、アメフトを辞めたいと言ったことはなかったという。
しかし、大学でどちらもプレーするのは不可能だとも分かっていた。
「すごくアメフトもやりたかったみたいだけど、彼はQBだから。まだ野球のシーズンが終わらないうちに、アメフトのシーズンが始まるんです。司令塔の自分が練習に参加しなければ、すごくチームに迷惑がかかる。だから1本に絞らないといけませんでした」(久美子さん)
本人が出した答えは、野球への道だった。
父のチャーリーさんが当時を思い出し、こう付け加える。
「やっぱり、アメフトは怪我が……。高校でもラーズは肘や膝をやっていましたから。大学に行ったらもっと大変です。みんなもっと大きいし、ヒット(当たり)も強い。確かにQBとしての技術は高かった。今の各大学のQBを見ても、彼は絶対に通用したと思う。大学のコーチもそう言っていました。怪我がなければNFLにも行っていたと思うけど、将来を考えると、野球の方が長く続けられると思ったんじゃないかな」