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「アメフトでもNFLを狙えた」ヌートバーはなぜ野球を選んだのか? 本人に聞いた“決定的な理由”「フットボールは大好き。でも…」
posted2023/03/02 17:00
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Getty Images
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野球か、アメリカンフットボールか。
大学でどちらのスポーツを選ぶのか――。母の久美子さんと父のチャーリーさんは、それが息子ヌートバーの一番の分岐点だったと語る。
同じ大学から野球とアメフトで推薦オファー
元々、高校2年の時に、野球推薦で名門・南カリフォルニア大学(USC)に行くことが内定していた。だが、ヌートバーは高校3、4年時にアメフトのQB(クォーターバック)としても大活躍。2013、14年はリーグMVP、13年にはチーム創設初のCIF(南カリフォルニアセクション)ノース・ウエスト地区の決勝に導いた。メディアからも取り上げられ、一躍「フットボーラー」としても名が知れ渡った。すると同じUSCから、アメフトでの推薦の話がきた。野球とアメフト、両方のコーチによる綱の引っ張り合いだ。
久美子さんはこう振り返る。
「本人はすごく悩んだと思います。普通、野球の推薦にコミットしたら、他の競技には手を出さない、みたいな暗黙の了解がある。でも、ラーズは高校3、4年ですごくフットボールで活躍しちゃって……。ちょうど高校4年生になる夏かな、QBのキャンプがあって、それこそ何百人とか集まった中でMVPを取っちゃった。それでフットボールのオファーも届いたんです。同じ大学からね。野球のコーチは『ラーズはうちのものだから手を出すな』みたいな感じだったし……」
ことアメリカにおいて、アメフトは圧倒的に人気のスポーツだ。最高峰のNFLは、MLB(野球)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)と並んで北米4大プロスポーツのひとつに数えられるが、注目度の高さにおいては“NFL一強”と言っていいほどの格差がある。スーパーボウルは言うに及ばず、カレッジフットボール(大学アメフト)のプレーオフ決勝も、全米視聴率でMLBのワールドシリーズを上回る。