Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「まったくない話だった」パリ世代・半田陸の”ローマ報道”とガンバ移籍の真相、現代型SBの理想は“あの2人”の融合「いい部分を盗みながら」
posted2023/03/01 17:01
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Daisuke Nakashima
2022年3月の立ち上げ当初からパリ五輪を目指すU-21日本代表に名を連ねている半田陸に昨秋、降って湧いたような移籍騒ぎがあった。
イタリア・セリエAに移籍か――。
ジョゼ・モウリーニョ監督率いるローマが日本人選手の獲得に乗り出すとイタリアメディアが報じ、その選手が半田だと断定して書かれただけでなく、すでに練習参加したとの情報まで流れたのだ。
“ローマ報道”の前から熱心だったガンバ
半田が、ふふふ、と笑みをこぼす。
「僕自身も驚きましたよ。まったくない話だったので。いったい何を信じているんだろうって」
ローマ移籍はガセネタだったようだが、その少し前に熱心にオファーをくれたチームがある。
それが、ガンバ大阪だった。
「去年の夏にも声をかけていただいたんですけど、そのときはモンテディオ山形でのJ1昇格しか考えていなかった。ずっと山形にお世話になってきましたし、昇格の可能性があったので、その目標を達成したいと思って」
最終的にシーズン6位となった山形は、J1参入プレーオフに出場。1回戦でファジアーノ岡山を3-0と撃破したものの、2回戦でロアッソ熊本と2-2で引き分け、レギュレーションにより敗退することとなってしまう。
そのあと、再び、ガンバから声がかかるのだ。
「新しい監督もやって来るし、これから変わっていくガンバを一緒に作っていってほしい、と言ってもらいました。すごくやり甲斐を感じましたし、J2で対戦して(ダニエル・ポヤトス監督が率いていた)徳島ヴォルティスはすごくいいサッカーをしているなって。ダニのもとでなら、もっと成長できるかなと。山形で昇格できなかったのは残念ですけど、やれることはやったという思いもあったので、次のステップにいくタイミングだと思いました」
ポヤトス、クラモフスキー両指揮官の大きな違いとは
ガンバのポヤトス監督も、山形のピーター・クラモフスキー監督も、同じくポジショナルプレーの概念をベースとしたアタッキングフットボールを志向しているが、考え方やトレーニングで重視するものは大きく異なっているという。
「わかりやすく言うと、ピーターは“動”で、ダニは“静”という感じです。ダニのサッカーにおけるサイドバックは相手を広げる役割というか、中のスペースを自分が使うというより広げて使わせるイメージ。ピーターのもとでは受け手になることが多かったですけど、ガンバでは出し手になることが増えるので、成長できそうだなって」