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元天才少女が苦しんだ“誹謗中傷”と“理想とのギャップ”…痛烈DM、コースで嘔吐の日々を乗り越えた33歳キンクミ涙の復活劇
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTaichi Chiba
posted2023/02/28 11:05
若手時代から注目を集めてきた金田久美子(33歳)「免疫はある」としながらも、SNSで目にする痛烈な言葉に落ち込んだと赤裸々に明かした
「だって数がハンパないんですよ。本当に多いから。成績が悪ければもちろん言われるし、成績が悪くなくても結局言われる。まあ私の見た目がこんなんだからね(笑)。でも事実じゃないことを言われるのは許せない」
劇的なツアー2勝目から数日後、金田はインスタで喜びを綴った。たくさんの思いを書き連ね、「最後に」と前置きしてこう続けた。
『努力は人に見せるものではない。
誰かが残したこの名言を心に置いて
他のみんなのSNSも見てほしいです。
これをこうやって言える日がきて嬉しいです』
人知れず重ねた努力を誇りたかったわけではなかった。
「あれはSNSだけでみんなのことを判断するなって言いたかったんです」
どうだ見たか! ネットの世界の顔が見えない人々へ、積年の思いを込めたピースサインだったのだ。
「SNSやネットにあることが全てじゃない。それをしっかりと分かった上で、いろいろな人を見てほしい。誹謗中傷が少なくなってほしいから、そういう気持ちを込めて書きました」
「“免疫”はついてるつもりですけど…」
ここ数年、特にクローズアップされてきたアスリートへの誹謗中傷問題。競技や国籍、年代、性別のいかんにかかわらず、もはや逃れられないもののようにも見える。
優勝から遠ざかっていた11年、もしくはそれ以上の長い間、金田も痛烈に感じてきた問題だった。
「昔はメディアの人に嫌な書き方をされたこともあったし、10代の頃から叩かれ慣れて免疫はついてるつもりですけど、調子が悪くてメンタルが落ちてる時にそういうのを見ると、ちょっとグッてくるものはありますね」
ささやかな自衛の手段は、心が弱っているときはSNSを更新せずに距離を取ることだった。
「誹謗中傷で心が落ち込んじゃって、そこで結局立ち直れないっていう人も多いと思うんですよ。周りのプロと話していてもそう感じます。努力していない人なんていないし、みんな本当に頑張っているから、そういうことは減ってほしいんです」