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「日本だといい情報ばかりだけど…」昨年現役引退・牧田和久38歳が明かす“米国&台湾生活”「チームメイトと打ち解けた“あの漫画のイラスト”」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2023/02/28 17:01

「日本だといい情報ばかりだけど…」昨年現役引退・牧田和久38歳が明かす“米国&台湾生活”「チームメイトと打ち解けた“あの漫画のイラスト”」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

WBC日本代表の守護神としても活躍し、現役後半では台湾リーグも経験するなど独自のキャリアを築いた牧田和久氏

意外な“絵の才能”で人気者に?

――2017年のWBCの台湾戦で活躍したこともあり、知名度は抜群だったとか?

牧田 印象的だったのは『野球ゲームの中の人が出てきた!』と言われたこと。アンダースローだから余計に印象的だったんでしょう。親日家も多くて、陽岱鋼や王柏融の影響で日本ハムの試合をよく見ているのでパ・リーグに詳しいんです。プロ野球に行きたい若手選手も多いので、日本ってどういうところ?と質問もよくされました。

――選手たちとはどんな風にコミュニケーションを?

牧田 ある日、トレーニング施設のホワイトボードに似顔絵を描いたら『マキ上手いじゃん!』って。二軍コーチにメジャーリーグでも活躍した王建民がいて、ロッカーに本格的なダーツボードを置いていたんですね。そこに絵を描いてよ、と頼まれたのでこれ(註=写真)を描きました。台湾でも『ワンピース』や『鬼滅の刃』は大人気で、漫画の中の日本語のセリフで話しかけられることもありました。中南米の選手に『NARUTO』の技をかけられたり、いきなり『キサマ!』って呼ばれたり。日本の漫画やゲームは共通語。文化の力を感じました。結果は出なかったですけど、経験ってお金で買えないもの。台湾での経験や出会いは本当に貴重でした。

牧田が語る「アンダースローの極意」

――台湾リーグを最後に、昨年末に現役引退を決めた。静清工(現・静清高)1年の時に取り組み出したアンダースロー。投げ方を変えようと思ったことはあるのか?

牧田 一度もないですね。最初はスリークオーターだったんですけど、下から投げてみろと言われたらいいボールが行った。そのまま続けてきた感じですが、戻そうと思ったことはない。良かったことは自分の強みを知ることができたこと。他の人とは違うものがある。それが何より楽しいし、一番の武器になっていると感じてきました。

――20年以上取り組んできたアンダースロー。たどり着いたその極意は?

牧田 タイミングとバランスです。バッターはタイミングで振ってくるでしょ。ソフトバンクの柳田(悠岐)選手は別にして、バランスが崩れてもホームランにできる選手は少ない。ジャストミートするから飛んでいくのであって、そのタイミングをずらせば自ずとミスは出てくる。タイミングをずらす、バランスを崩させる。下から来るボールの軌道と、間合いの変化を駆使していかにこれができるか、だと思います。でも僕、思うんですよ。バランスとタイミングって、野球だけに限らず人生でも大事なものじゃないかな、って。仕事も恋愛も結婚も、バランスとタイミングでしょ? 全てに通じますよね。

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「今でも鮮明に覚えています」WBC日本代表の守護神だった牧田和久38歳が忘れられない“あの1アウト”「予選ラウンド後の“燃え尽き”に要注意」

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