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「今でも鮮明に覚えています」WBC日本代表の守護神だった牧田和久38歳が忘れられない“あの1アウト”「予選ラウンド後の“燃え尽き”に要注意」
posted2023/02/28 17:00
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
L)Yuki Suenaga、R)Getty Images
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――2大会連続で抑えの重責を担い、計8試合登板で2勝3セーブ。国際舞台で抜群の勝負度胸を発揮してきた牧田氏が考える、WBCの「肝」とは?
牧田和久氏(以下、牧田) みんなが言うことですが、まずボールに慣れることが大事かなと思います。日本のプロ野球のボールはしっとりしていて山が高く、リリースするときに最後まで指にかかってくる感覚があるんですけど、国際球はそれが全くない。自分はアンダースローなので、前でボールを離すというイメージで投げていましたが、それをすると抜けそうになるんですよ。じゃあボールが滑らないためにどうするか。ボールの持ち方を工夫したり、手の汗を馴染ませたり、ロジンの量を調整したりと、試行錯誤して自分に合った方法を探していきました。
――2013年大会を振り返ると、大会直前の壮行試合・オーストラリア戦の後に急遽、東尾修投手コーチに「抑えを頼む」と言われている。所属していた西武では当時先発ローテの柱で、前年の12年には登板27試合で13勝(9敗)と活躍していたが、普段とは違う役割に戸惑いはなかったのか。
牧田 確かに言われたのは直前でしたね。ただ基本的にはこういう国際大会では任されたところは何でもやるつもりで調整していました。
――初戦のブラジル戦では格下と言われた相手に苦戦。2点リードの9回を抑えて試合を締めた。どんな心境でマウンドに上がった?
牧田 なかなか(日本が)点をとれず我慢の展開でした。ブルペンで調整している間は『マジで投げたくないな』と思っていました。緊張感で気持ちが悪くなって、うわぁ嫌だな……と。ただマウンドに上がればスイッチが入ってしまうタイプなので、そこからはもう打たれても仕方ない、という思いで開き直って投げられていたと思います。