「大越健介さんが東大野球部の先輩で、就活でもお世話になったんです。大越さんもそう思われているそうですが――〈世のため、人のためになる仕事をしたい〉というのはずっと思っていたことでした。もちろんスポーツ中継をすることも世のため人のためだと思うし、スポーツは大好きです。だけどスポーツ以外の大きな事件や関心事などが起きているときに立ち会えないでいいのか。特にこれだけ世界が大きく動いているときに、放送人としてそれが許せなかったんです。報道の場でもスポーツ実況で学んだ基礎的なスキルを活かしていきたいですね。

　逆に言えば、入社当初に志望していたWBCについても、カタールW杯がトップニュースを飾ったように、大谷翔平選手やダルビッシュ有投手たちが活躍すればスポーツという枠組みを超えた形でお届けできるかもしれない。そう考えると、僕がまさにそうでしたが、スポーツが人を豊かにするという報道をできればうれしいな、と思っています。そのためにはきちんと取材して、自分の言葉、表情で伝えることで視聴者やリスナーの皆さんに〈ああ、この人分かっているな〉と信頼されるような伝え手になりたいです。そこはスポーツも報道も、壁はなく僕は進んでいきたいと考えています」

「生まれ変わっても東大野球部に入りたい」

　受験勉強、野球、アナウンサー生活ともに「今自分ができることに対する研究・読みの鋭さ」が――まるで将棋のトップ棋士のように――抜群に秀でた人だと感じた。

「生まれ変わっても東大野球部に入りたいと思っていますね」

　そう語っていた喜入アナウンサーはきっと、報道・スポーツどんなフィールドでもその頭脳を駆使して戦っていくのだろう。

（#1、#2からつづく）

#1から読む

「模試で東大DかE判定」だったのに…なぜTBS喜入友浩アナは一浪で赤門合格できたか「前日、試験にどう臨むか考えた」捕手的思考

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