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WBC合流前の今永昇太は「最速151km→実戦投球でホッとした表情」、鶴岡コーチの送球が美しい…二軍に主力多数、DeNAキャンプ観察 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/02/17 06:00

WBC合流前の今永昇太は「最速151km→実戦投球でホッとした表情」、鶴岡コーチの送球が美しい…二軍に主力多数、DeNAキャンプ観察<Number Web> photograph by Kou Hiroo

花とともに笑みを見せる益子京右。プロ5年目の開花なるか

 ワンバウンド捕球の練習が始まった。懐かしや「74」鶴岡一成コーチが、ワンバウンドの球の3人の捕手に投げ込む。捕手たちは腰を落とし、膝を閉めて捕球するのだが、鶴岡コーチは時折ノーバウンドも投げる。ワンバウンドを予測して身構えている捕手たちは慌てて捕球する。「ほらほら、待ってたらダメ」と鶴岡コーチ。実戦的な練習とはこういうことだろう。

 このあと、鶴岡コーチは二塁送球の練習をさせた。上甲にはボールを捕球してから振りかぶって投げるのではなく、肩の高さくらいから小さなフォームで素早く投げるように指導した。何度か上甲が投げたあとに、45歳の鶴岡コーチが自ら二塁送球をやってみせる。さすがに球速こそなかったが、糸を引くようなきれいなボールが野手のグラブに収まった。

 横浜、巨人、DeNA、阪神を渡り歩いた名捕手だけのことはある。横浜時代は三浦大輔現監督の信頼が篤かったというが、さもありなん、と感じる送球だった。

育成の背番号「103」が気になるワケ

 もう一人、筆者が気になるのは「103」外野手の村川凪だ。四日市大学時代は全くの無名だったが、四国IL徳島で、ずば抜けた俊足を注目されて育成でDeNAに入団。当コラムでも紹介したが、育成選手の契約年限は3年、2年目の今年は勝負の年である。

 外野で飛球を追っていたが、ずば抜けた俊足で村川であることが、ひと目でわかる。課題は打撃だ。昨年はイースタン・リーグで33安打を打ったが長打は二塁打5本、三塁打1本だけ。非力の印象は否めない。おとなしい選手だったが、ティー打撃をする村川の表情は厳しさを増していた。

 スケジュール表よりもかなり速いペースで練習は進行し、ライブBP(シート打撃)が始まった。

 投手は「21」→「43」→「21」→「43」→「21」→「65」となっている。「21」は今永昇太、「43」は一昨年のドラフト5位・深沢鳳介、「65」は宮國椋丞だ。シート打撃では3アウトごとに投手が交代する。

今永は60球を投げたのち、ホッとしていた

 このシート打撃の主目的は、今永の状態のチェックだろう。首脳陣としてはWBCに向けて、今永を最高の状態で送り出さなければならない。前日は三浦大輔監督の前でブルペンに上がり最速151km/hの速球を投げ込み、順調な調整をアピールした。

 今永は速球主体の投球、立て続けに3安打を打たれた。登板後「入り球が悪かった」と語ったが、速球をストライクゾーンに投げ込むことを意識していたからだろう。今永のマウンドのときは、スタッフがWBC公認球を渡していた。ボールの使用感を確かめるのも目的だったのだろう。

【次ページ】 仁志監督があちこち忙しく見て回る中で

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