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「出汁をドイツに持ち込みました」板倉滉のW杯直前復帰を支えたシェフの“隠し味と栄養”「池田さんに頼んで良かったなと思うのは…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byChristian Verheyen/Getty Images

posted2023/02/17 11:02

「出汁をドイツに持ち込みました」板倉滉のW杯直前復帰を支えたシェフの“隠し味と栄養”「池田さんに頼んで良かったなと思うのは…」<Number Web> photograph by Christian Verheyen/Getty Images

日本代表DF板倉滉の素顔を、元サッカー選手で専属シェフの池田晃太さんに教えてもらった

 ドイツと日本を比べたとき、果物類の見た目や賞味期限では日本のものが上回るのだが、ドイツのそれは旨味や甘味で日本の一般的なものを上回る。板倉はもともと朝が苦手なタイプで、朝食を十分にとらないこともあった。身体のために食生活を向上させることが、池田に声がかかった要因の一つであるわけだが、池田が来てから朝食は充実した。板倉にとって、それらを食べようという気持ちにしてくれるのがドイツで手に入るフルーツ類だった。もちろん、ビタミンCをはじめとした栄養についてはここで説明するまでもないだろう。

 板倉のお気に入りの料理は、市販のルーを使わずに作られたカレーである。ココナッツミルクとスパイス、それに野菜を加えて時間をかけてつくられたもの。最後にたんぱく質を豊富に含んだエビなどを加えて完成する。このカレーは、本来は働くはずだった『グリューン』の担当者に教えてもらったもの。この料理にも、出会いと、学びの機会を大切に拾い集めてきた池田らしさがつまっていた。

吉田麻也も「池さんの料理は本当に美味しい」と

 板倉といえば、昨年9月に右ひざの内側靱帯を損傷し、11月から12月にかけて行われるカタールW杯への出場をあやぶむ声があがっていた。後述するような板倉のポジティブな空気に圧倒されながら、池田はシェフとして奮闘していた。

「管理栄養士さんにすぐに話を聞いて、改めてケガの回復によいものを一から見ていくことになりました。コラーゲン、ビタミンC、鉄分、亜鉛など、回復が少しでも早くなるようにと意識して作っていましたね」

 なかでも色々なエピソードが出てくるのがコラーゲンだ。

「コラーゲンといっても、肉類由来のものと魚介類由来のものと2種類あるんですよね。だから、その2種類をバランスよくとるようにして、あとはサプリメントにも……」

 板倉の食卓には鶏の手羽のようなコラーゲンを豊富に含んだものから、魚のお頭を使ったアラ汁などが用意されていた。さらにコラーゲンに関しては、日本代表の先輩で“近所”に住んでいる、健康マニアの一面を持つ吉田麻也の力も借りた。

 板倉がケガをしたと聞いて、吉田はコラーゲンのサプリメントを大量に抱えて、やってきたからだ。飲むコラーゲンであるコラーゲンショットというものを板倉が毎晩寝る前に口にするようになったのだが、その一部は食事にも利用した。なお、吉田は先日、日本テレビ系のスポーツ番組『Going!』で槙野智章と板倉と3人で食事会の取材を受けた際に、池田について「池さんの料理は本当に美味しい」と証言していたほどだ。

「前よりも確実に強くなった状態で復帰するから!」

 板倉のケガは「食でアスリートをサポートする」という池田のドリームジョブの真価が問われる状況でもあったが、かたわらで見ていた池田は、驚かされてばかりだったという。自身もかつてはプロサッカー選手であったからこそ、板倉のすごみを感じる機会があったからだ。

【次ページ】 池田さんにシェフを頼んで良かったなと思うのは…

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