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「TAKEユニの日本人ファンが増えた気が」久保建英MOMも“代えが利かない状態”を現地撮影…ソシエダは狂う歯車を直せるか
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/02/09 11:01
ノーゴールに終わったのは痛かった。ただソシエダの攻撃は現状、久保建英によって司られている
プレーが切れるたびに、イマノル監督からは指示が飛び、徐々にソシエダがバランスを取り戻していった。
久保とバレネチェアの攻撃時のコンビネーションが改善されると、久保がカットインから相手ゴールに迫るシーンが増えてきた。その中で自身で得たFKを久保が直接狙うが、壁を越えることはできなかった。
また34分には、マリンからのパスをセルロートが守備ラインの裏で受けシュートを打ったもののポストに嫌われてしまうと、両者無得点のまま前半が終わった。
ソシエダは前半終了間際から、ブライス・メンデス、アイエン・ムニョスがアップを進めていたが、後半頭からバレネチェア、リコの両サイドバックとの交代策に打って出た。右サイドバックには、CBのスベルディアが移り、そのポジションにはボランチのスビメンディが入った。
久保が仕掛け、シュートに持ち込むが周囲の不調が…
後半、ソシエダを牽引したのは久保だった。
久保がサイドで勝負を仕掛けると、ソシエダのポゼッションが増えていく。さらには、久保が中に切り込みシュートを打つシーンも多くなった。ただ、シルバが不在、スビメンディもポジションをDFに下げた中で、交代出場のメンデスがやはり本来の調子を発揮できず、中盤でノッキングを起こすシーンが散見した。
62分には、大きな歓声に包まれてオヤルザバルも交代出場したが、怪我で長期離脱していた影響は大きく、効果的に攻撃に絡むことができなかった。
ここまでチーム最多得点、1月のリーガMVPのセルロートのシュートも枠を捉えることができない。
すると73分、バジャドリーは交代出場のラリンが2試合連続となるゴールを奪う。
ソシエダは最後まで勝ち点を目指して攻勢に出た。特に久保は2人を相手に突破を図り、またシュートを打ち――とひとり覇気を見せたが、ゴールを奪うことはできなかった。
敗戦の中でのMOMは久保の存在の大きさを感じさせた
そしてそのままホイッスルが鳴ると、ソシエダのリーグ戦無敗が7でストップした。戦前には、2位マドリーが負けていたが、勝ち点差を縮めることはできなかった。
試合後、久保は悔しさを滲ませた。しかしこの試合、両チーム最多シュート数となる7本を放ち、チームは敗戦したにも関わらずMOMに選ばれる活躍を見せた。
主力不在が響く中で――上位チームとの対戦も含めた連戦において、チームを牽引した久保の存在が改めて大きくなってきていることを感じさせた。