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「どこまでやるんだ、この2人」圧巻の飛び技に大流血も…ケニー・オメガとウィル・オスプレイが「1.4」で見せた“お腹いっぱい”の激闘
posted2023/01/09 11:05
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「どこまでやるんだ、この2人」
1月4日、東京ドーム。アントニオ猪木追悼大会のセミファイナルで行われたウィル・オスプレイvs.ケニー・オメガのIWGP・US王座戦が、国内外で話題を呼んだ。
それは世界を見据えた戦いだった。そして、インターネット配信を十分に意識した34分38秒だった。
ライブ配信された『NJPW WORLD』のユニークユーザー数は9万2409人。海外からのシェアがそのうちの約30%という数字で、オスプレイvs.オメガへの期待度の高さを表していた。
付言するなら、IWGP女子王座の次期挑戦者としてKAIRIの前に姿を見せたメルセデス・モネ(サーシャ・バンクス)も、じつに格好よくてセンセーショナルだった。
健在だった「ベストバウトマシーン」
オメガが新日本で最後のファイトをしたのは2019年1月4日。4年ぶり、「ついにきたか」というタイミングでオメガは戻ってきた。
AEWに移って世界王者となったオメガだったが、プロレスを続けることが困難なほどの満身創痍に陥った。2021年末にヒザ、肩、腹部ヘルニアなど複数箇所の手術に踏み切り、休養。リングから長く遠ざかった。
オメガの体は元のようには戻らないとされていたが、オスプレイとの試合では唯一無二の存在感を示すことができた。「ベストバウトマシーン」は健在だった。
オメガとオスプレイは十分に、いや、十分すぎるほどやりあった。お互いの引けないプライドと意地を、アクロバティックな空中戦でも、ぶちかましでも、自らの体にダメージを重ねて観客にアピールしていった。
2人とも以前よりもウェイトは増しているが、オメガのロープ最上段越しのトペも健在だったし、オスプレイの場外へのきりもみ式のスイシーダも圧巻だった。さらにオスプレイが大流血したことで、凄惨さまで加わった。
最後はオメガがヒザ爆弾・カミゴェから、変形のパイルドライバーである片翼の天使でオスプレイからUS王座を奪った。