プロ野球PRESSBACK NUMBER

「こんなに気の優しい子がプロ野球でやれるのか」あの宗佑磨が日本一オリックスにいる“奇跡”…小学生とはっちゃける“オフの姿”にグッときた話 

text by

樫本ゆき

樫本ゆきYuki Kashimoto

PROFILE

photograph byYuki Kashimoto

posted2023/01/07 11:05

「こんなに気の優しい子がプロ野球でやれるのか」あの宗佑磨が日本一オリックスにいる“奇跡”…小学生とはっちゃける“オフの姿”にグッときた話<Number Web> photograph by Yuki Kashimoto

母校・横浜隼人でOB会主催の野球教室に参加したオリックス宗佑磨。高校時代を知る記者が驚いた理由とは

「サク越えの場面はいちばん盛り上がったね。試合で足を上げない僕が足上げて打っちゃったからね。子どもたちのパワーでつい。みんな元気でしたね!」

 正直なところ、野球教室で本気を出すなんていろいろ大丈夫……? とも思ったが、「マックス」を出し切った宗は、目を大きくさせて子どものようにしゃべり続けた。

おにぎりを苦労しながら…宗の高校時代

 監督室からこの様子を見守っていた水谷哲也監督も感慨にふけっていた。「子どもたちが、まるで満天の星を見るような目で宗たちを見ていた。夢を与えられる選手になりましたね、胸がいっぱいで言葉がありません」。高校時代の宗は、勝負強いバッティングとずば抜けた身体能力を持っていながら、性格は引っ込み思案で、人前に出る勇気がなかった。怒鳴られてもはい上がってくる他の選手とは真逆で、「闘志が足らない」「覇気を出せ」と檄を飛ばされることのほうが多かった。マイペースな性格で競争を好まない。課題にされていた「10キロ増量」の食トレも、大きなおにぎりを時間をかけてゆっくり、ゆっくり、苦労しながら食べていた。「できないことは、できないんだよな」。そう、無言で抵抗していたように思う。

 中学時代は硬式のクラブチームには入らず、神奈川・鎌倉市の玉縄中学野球部(軟式)でのびのびとした「楽しむ野球」をしてきた。秀でた実績はなく、野球エリートでもない。縁あって横浜隼人に入学し、3年夏は県ベスト4入り。その秋にオリックスからドラフト2位指名を受けた時は「こんなに気の優しい子がプロの世界に入って大丈夫なのだろうか?」と心配が上回ってしまったものだ。だからこそ、余計にいまの姿が頼もしく感じる。オリックスという球団で素晴らしい良縁に恵まれたのだろう。

【次ページ】 本人が語る「チャンスに強い」理由

BACK 1 2 3 4 NEXT
#宗佑磨
#オリックス・バファローズ
#横浜隼人高校
#吉田正尚
#水谷哲也
#松井裕樹

プロ野球の前後の記事

ページトップ