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2年目の大逆襲はあるか “BIGBOSS語録”で読み解く新庄監督の変化と勝算「優勝なんか一切、目指しません」→「日本一だけを目指して」のナゼ
text by
中田愛沙美(道新スポーツ)Asami Nakata
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/05 11:00
BIGBOSSから新庄監督へ――。新本拠地元年を鮮烈なシーズンにすることができるか
3月のオープン戦ではファン投票でスタメンポジションを決定し、ホーム開幕戦ではホバーバイクに乗って空を飛ぶ演出で登場。試合前に異例のインスタライブを実施するなど、現役時代に『新庄劇場』と称されたエンターテイナーぶりは健在だった。
監督1年目のシーズンを戦い抜くと、その言葉には少しずつ変化が出てきた。
「優勝を目指さないのではなく、目指せなかった」
9月頭にリーグ優勝が完全に消滅した翌日の囲み取材で発した言葉だ。敗戦後も明るく振る舞うことが多かった指揮官だが、時には厳しいメッセージを送ることもあった。5月10日のオリックス戦では試合後の囲み取材に応じず、「一軍に残りたいという姿勢が全く見えない。バットを出さない限り一生結果は出ない」と球団を通してコメント。5月25日のヤクルト戦では二夜連続のサヨナラ負けを喫し、走塁ミスをした清宮幸太郎のプレーに対して「あんなミスしていたら一生上に上がっていけないよね」と突き放した。固定観念にとらわれない作戦や継投策を繰り出し、選手の能力、適性をシビアな目でチェックしていた。
「来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指してぶれずに戦っていきます」
9月28日の本拠地最終戦のセレモニーでは、BIGBOSSのユニホームを脱ぎ捨てて“卒業”を宣言。BIGBOSS改め新庄剛志監督として、4万人を超えるファンの前で来季の日本一を高らかに誓った。「BIGBOSSのユニホームを脱ぐ寂しさより、真剣勝負。来年は新庄剛志でいきたいなという気持ちがあるので」とキッパリ。新球場「エスコンフィールド北海道」に本拠地を移して戦う新シーズンに向けて、本気モードに突入したようだった。
「来年に向けて思ったことはバンバン言うし、僕はなんて思われようがいいです」
最下位でシーズンを終え、10月下旬には若手選手が鍛錬するみやざきフェニックス・リーグを視察した。ベンチで指揮を執ることはなかったが、バックネット裏から選手たちの動きに目を光らせた。怠慢プレーがあれば、名指しでミスを注意した。
「成長してほしいし、経験してほしいし、失敗していいんですよ。本番で失敗しないために今、失敗して成長しないと。彼たちのためを思ってキツく言っているだけ。僕はハッキリ言う性格なので、これからは木田(優夫・二軍)監督にしてもコーチにしても。勝つためには、そうやっていくと決めている」
そう言い放った表情は真剣そのもの。指揮官が発する言葉は、シーズンの経過とともに厳しさを増していったように思える。