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2年目の大逆襲はあるか “BIGBOSS語録”で読み解く新庄監督の変化と勝算「優勝なんか一切、目指しません」→「日本一だけを目指して」のナゼ
posted2023/01/05 11:00
text by
中田愛沙美(道新スポーツ)Asami Nakata
photograph by
Nanae Suzuki
北海道日本ハムファイターズを率いる新庄剛志監督の発言は、突拍子もないように見えて、説得力がある。昨シーズン中、常々口にしてきたフレーズがあった。
「2、3日あれば人生は変えられる」
苦節11年を経て、2022年シーズンパ・リーグ首位打者のタイトルに輝いた松本剛は、その思いを体現した1人だろう。指揮官と出会い、励まされ、眠っていた才能を開花させた。新庄監督の言葉に秘められたパワーを松本剛はこう証言する。
「ここ数年、玄人好みするような打席ばかりを送りすぎて自分の良さを消していた部分もありました。ボスは『思い切り行く場面は思い切り行っていい。進塁打なんて打たなくて良い。バントなんてしなくていい』と言ってくれている。初球からガンガン行って凡打になっても駄目ではない、という風にハッキリ言ってくれている。割り切りを持たせてくれる、きっかけをくれた方です」
指揮官のアドバイスが、チームバッティングに徹することばかり考えていた28歳の心に大きく響いた。シーズン開幕から好調を維持し、打率リーグトップを独走。横一線のレギュラー争いを勝ち抜き、多くのチャンスをもらった。
シーズン中盤に訪れた大きなピンチも、新庄監督の言動が支えとなった。
7月下旬の試合で自打球を左膝に当てて骨折。ゲーム復帰まで約4週間と診断されたが、指揮官は「来年狙えばいいとか、そういう話ではない。今年なんですよ。結果を求めず、規定打席に立たせてあげたいという気持ちがものすごくある」と熱っぽく語った。予定よりも早く戦列復帰させ、タイトル獲得を後押しした。