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「最後だから楽しめ」駒大・大八木弘明監督が9区の4年生キャプテンにかけた電話 山野力が明かす“退任を告げられた夏”「監督が泣くなんて…」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2023/01/04 17:01

「最後だから楽しめ」駒大・大八木弘明監督が9区の4年生キャプテンにかけた電話 山野力が明かす“退任を告げられた夏”「監督が泣くなんて…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

大手町でゴールを待つ駒澤大学・大八木弘明監督(右)と9区から駆けつけた山野力(中央)。9区を走る前、大八木監督からは電話がかかっていた

大八木監督からの電話に「なんか胸がいっぱいに」

「いつもは前のチーム、後続のチームとの差はこのくらいだから頑張れ、みたいな感じなんです。でも、今回はいつもと違う感じでノリノリで電話がかかって来て、『最後だから楽しめ』と言ってくださって……。監督の最後というのもあって、なんか胸がいっぱいになりました」 

 だが、感傷に浸っている時間はなかった。赤星は、2位の中央大との差を1分05秒差まで広げ、山野に襷を渡した。

「不安」でスタートした山野

 山野は、思ったほど開いていないタイム差に少し不安を覚えてスタートした。

「6区終わりから2位の中央との差が45秒前後で推移していて、自分も走り始めてから45秒から1分ぐらいの間の差しかつけられなかったので、ちょっと不安でした。でも、この箱根に賭ける思いがすごく強かったので、最後までしっかり自分の走りをやり切ろうと思っていました」

 山野は、最初の1キロを2分30秒で入り、大八木監督から「冷静にいけよ」と声をかけられた。だが、足が動くままに走りつづけ、ポイント地点の横浜駅では2位の中央大に1分33秒とさらに差を広げた。10区の青柿に襷を渡した時は、1分33秒の貯金が出来た。

「先輩のため」「監督のため」の気持ちができた理由

「青柿に襷を渡した時点で優勝を確信しました。青柿はレース前、昨年よりも調子がいいと自分で言っていたので、全然不安はなかったですし1分以上で渡せば絶対に勝てると思っていました」

【次ページ】 3冠という最高の想いをして終わることができました

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