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栗山英樹監督が立てていた「WBCで世界一」の“フラグ” とは? 大谷、ダルビッシュ…史上最強のスター軍団を束ねる指揮官が描く「物語」
posted2022/12/25 06:00
text by
木下大輔(日刊スポーツ)Daisuke Kinoshita
photograph by
Kiichi Matsumoto
大谷翔平、ダルビッシュ有、鈴木誠也らメジャーリーガーが続々参戦表明しているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。3大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」を率いるのが栗山英樹監督だ。スター選手を操縦する指揮官の信条とその素顔を、日本ハム番記者が綴った。
「やるしかないやろ」「目いっぱい、行くしかないんや」
東京・小平市出身にもかかわらず、栗山監督は時折、無意識に関西弁が口をつく。
「野球のことで熱くなると、熱闘甲子園を思い出すんだよ。先人に感謝。大げさに言えば野球から人生、生きざまを教えられた。その原点が高校野球」
選手を引退後、2009年から11年までナビゲーターをつとめた「熱闘甲子園」。熱心に高校球児を取材し、視聴者へ未来のある高校生たちの素顔を発信し続けた。その番組製作の中心が大阪の朝日放送だった。スタッフの多くが関西人。無我夢中で高校球児を追いかけ、いい番組を視聴者に届けようとした日々は情熱がこもった関西弁であふれていた。野球のことで必死になればなるほど、原点の熱さを思い出すという。
20年以上「伝える」側にいた経験から、メディアに対してはいつも「できることはなんでもするよ」と協力を惜しまない。日本ハム監督時代の2020年年末のこと。札幌ドームに隣接する日本ハム球団事務所の仕事納めに参加した栗山監督は挨拶を終えると、スポーツ紙のカメラマンのリクエストに応じて、雪が降り積もる屋外へと飛び出した。氷点下の極寒のなか、両手の人差し指を立てて頭の上に置いてポーズ。丑(うし)年の2021年に向け、牛のポーズを取ってくれたのだ。しかも、笑顔で。