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メッシ35歳ついに「満たすべき空虚」W杯にキス…“天才への非情な重圧”にマラドーナが「重荷を背負わせるな!」とキレた日とは
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/12/19 11:04
フットボール界のアイコン、リオネル・メッシがついにW杯を手に入れた
メッシも英雄マラドーナの死を知ると、自身のインスタグラムでマラドーナとのツーショット写真を載せて「すべてのアルゼンチン人、サッカーにとってとても悲しい日だよ。ディエゴは僕らのところからいなくなったけど、でもディエゴは永遠なんだ」と追悼のメッセージを送っていた。
監督退任後、マラドーナはW杯の会場を訪れるたび、メッシのスーパープレーに狂喜乱舞する姿がお馴染みとなっていた。カタールの地でその姿を見ることはできないのは残念だが……今のメッシの姿を見て、ディエゴはきっと天の上でご満悦なはずである。
満たすべき空虚が、僕の中にある
<名言5>
僕はまだ飢えている。成し遂げるべき目的、満たすべき空虚が、まだ僕の中にはある。
(リオネル・メッシ/Number821号 2013年1月24日発売)
◇解説◇
2012年のFIFAバロンドールを受賞したときのコメント。25歳の若さにして4年連続4回目の受賞となったが、「まだ飢えている」と決して満足していない様子をうかがわせた。
メッシがバルサで、チームとしても個人としても数々のタイトルと栄光を手にしてきたのはご存じの通り。しかしアルゼンチン代表では……2008年の北京五輪こそ世代別代表として金メダルを獲得した。しかしA代表になると、2006年ドイツ大会から計4大会に出場したW杯、そしてコパ・アメリカなど代表戦の主要国際タイトルに縁がなかったことは有名な話だ。
その苦しみから解放されたのは、2021年のコパ・アメリカだった。初戦から鮮やかな直接FKを叩き込むなどメッシの活躍によって勢いに乗ったアルゼンチンは、決勝で最大のライバルである開催国ブラジルに勝利し、念願のタイトルを獲得。メッシは大会7試合で4ゴール5アシストという圧倒的な存在感を見せつけた。
W杯南米予選でも不敗記録を続けたアルゼンチンとメッシは、近年で最も完成度の高いチームとしての評判を持ってカタールの地に乗り込んだ。
初戦サウジアラビア戦でメッシが先制PKをきめたものの、逆転負けした際には“また縁がないのか”との思いがサッカーファンの頭をもたげた。
しかしそれをメッシは振り払うかのようにメキシコ戦でもゴールネットを揺らし、ポーランド戦でも勝利に導きグループステージ首位突破。決勝トーナメントではラウンド16オーストラリア戦で絶妙のコントロールシュート、準々決勝オランダ戦と準決勝クロアチア戦でもそれぞれPKを決めて勝利に導いた。
さらにクロアチア戦では今大会で評価を上げた20歳DFグバルディオルを“子ども扱い”するドリブル突破でのアシストでチーム3点目を導き、勝利を決定づけた。
そして、前述した通り決勝のフランス相手には2ゴールを挙げ、さらには守備でもスプリントをいとわない動きで全精力を傾けた。さらにこの試合でW杯史上最多となる26試合出場、史上初となる2度目の大会MVP獲得……。記憶・記録とともにW杯に名を残したのだ。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。