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米ベテラン記者「来季の新人賞候補に絡んでくる」“黄金世代“勝みなみ(24歳)が米ツアーの出場資格を獲得…緊張ゼロの強心臓と修正力
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byGetty Images
posted2022/12/15 11:01
米女子ツアーの最終予選会で5位に入った勝みなみ(24歳)。来季は同い年の渋野日向子らと同様にアメリカを主戦場に戦う
西村は通算15アンダーの24位タイ。米女子ツアーの限定的な出場権と下部に当たるエプソンツアーの出場資格を得たものの、前半戦に多くの試合に出場可能となる目安の20位内には惜しくも2打足りなかった。
試合後に、片平の問いかけに涙が止まらない。両手で顔を覆い、「悔しいです」となんとか言葉を絞り出した。
片平はフルシード権を逃した要因に「飛距離」を挙げた。
「天候の影響で試合会場の地面がぬかるんでいました。ランが出にくかった上で、最後の2日間はプリファードライもなく、飛距離を正確性でカバーする西村選手にとって厳しい戦いとなりました。なかなかバーディーチャンスにつけることが難しく、パー4の第2打を3ウッドで打ってもグリーンに届かないということもありました」
もちろん西村自身も飛距離で劣る部分があることは覚悟していた。今季は海外メジャー3試合に出場するなど経験を積んできたが「距離的な部分でけっこうしんどい戦いが毎日続いて、その中でもなんとかやろうと思ってやっていたんですけど、厳しいツアーだなと思います」と語っている。
ヒントになるのは古江彩佳の優勝?
ゴルフ取材歴20年、米ゴルフ雑誌『ゴルフウィーク』のシニアライターを務めるベス・アン・ニコルス記者も“飛距離“は現行の米ツアーを戦う上で大事なキーになっているという見解を示している。
「リディア・コ選手(ニュージーランド)が5年半ぶりに世界ランク1位に復帰しましたが、前回トップにいた時よりも飛距離が約10ヤードアップしています」
コは、ショットとパットが抜群に上手い。それでも「年々、選手全体のレベルが上がって勝つことが難しくなっているから」と肉体改造し、トレーニングを重ね、飛距離をアップした。
ただ、西村は今後もアメリカでは厳しい戦いを強いられるかというと、ニコルスは違う見方をしている。「古江選手だってパワーヒッターじゃありませんが、今年勝ちましたよね」と、西村と同い年の古江が米女子ツアーで初優勝を達成したことを引き合いに出した。
国内ツアー通算6勝の西村のたしかな実力は、片平も認めるところだ。
「飛距離があれば優位にたてますが、最終予選会で6番ユーティリティ、7番ウッド、9番ウッドなど長いクラブでしっかりとグリーンに乗せていました。ショットの精度が高いです。たらればになりますが、パットがもう少し決まっていれば流れが変わっていたと思います」