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「昌磨のマジックを見せて!」世界王者・宇野昌磨を奮起させたランビエル・コーチの激励…300点超えに「スーパーエキサイティング」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2022/12/14 17:21
フィギュアGPファイナル、唯一の300点超で初優勝を飾った宇野昌磨
「ステファンが『(06年五輪で銀メダルを獲得した)トリノは第二の故郷』と言っていたので、こういう場所で成績を残せたことが嬉しいです」
ランビエルコーチも誇らしげに語った。
「私はスーパーエキサイティングでした。トリノの地で素晴らしい思い出をもらいました、ありがとう昌磨!」
宇野の言葉に、コーチは苦笑い
ところが、メダリスト会見の最後に、可愛らしいやりとりがあった。トリノでの試合ということもあり「コーチの演技で好きなナンバーは?」と聞かれると、こう答えた。
「申し訳ないのですけれど、僕はフィギュアスケート(の過去の映像)をあまり見ないので、ステファンが何のプログラムをやっていたのか分からないです。振り付けの時や、一緒にアイスショーに出ている時に『この人こんなに上手かったんだ』と思っています」
それを会見場の後方で聞いていたランビエルコーチは、苦笑い。
「僕のプログラムを知らないなんて何てことだ! 次のレッスンは、君のコーチの歴史についてだよ!」
コーチが場内にいたことを知った宇野は、顔を真っ赤にして笑った。
嬉しさと、恥ずかしさと、さまざまな思いを胸に、タイトルを手に入れた夜はふけていく。
「今日は昌磨にとって素晴らしいお祝いの日。でも彼は明日にはそれを忘れて、前進することに集中していくでしょう」
そうランビエルコーチが言うと、宇野もこう話した。
「まずは日本に帰って、今回出来たことが自分の身になっているか確認することから始めたいです。同じことができれば、一段階成長できたことになる。その上で、次のステップに進みます」
『試合のための練習、練習のための試合』。いつもの信条を胸に、トリノを後にした。
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