猛牛のささやきBACK NUMBER
「森友哉のすごさは一番わかっている」オリックス若月健矢(27歳)が語る“10年越しの正捕手争い”〈FA移籍の寅威さんからエールも〉
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2022/12/13 17:02
日本一に貢献した若月健矢。切磋琢磨してきた伏見が移籍したが、来季から同学年の森友哉というライバルが加入する
森のオリックス加入が決まった後、若月が「よろしく」とLINEで送ると、「迷惑かかるかもしれんけどよろしく」と返事が返ってきた。
森はやんちゃで強面のイメージがあるが、若月は、「まあ世間はそう思うんでしょうけど」と笑いながら、こう続けた。
「そんなことまったくないですよ。僕もこの9年間は相手チームだったので、そんなに親しくしていたわけではないですけど、野球には本当にストイックな人間ですし、優しいです。まあ風貌がね、あんな感じですけど(笑)」
若月の2打席連続弾に「もうえーやろお前!」
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試合では、どちらかが打席に立った際にマスク越しに会話を交わすこともあった。
若月が一軍に定着し始めた2016年の7月に、2人は初めて同じ試合でスタメンマスクを被って対戦した。打撃好調だった若月に、森が「打つなよー」と恨めしそうに言うと、若月は「俺だって必死だよ!」と返した。
「たぶん今、あいつも同じところで悩んでいると思う。スローイングとか配球とか……。気持ちがよくわかります」と若月は語っていた。
今年8月19日の西武戦で、若月が2打席連続本塁打を放った際にもこんなやりとりがあったという。
「もうえーやろお前!」(森)
「行ってもーたわ(笑)。お前のほうがいっぱい打ってるやろ!」(若月)
たまに試合前の練習で言葉を交わすこともあり、昨年の終盤、西武は優勝の可能性が消え、オリックスが優勝争いをしていた時期には、「オリックス、頑張って優勝目指せよ。行けるよ。強いもん。勢いあるわ。俺らも(2018年に)初めて優勝した時は勢いで行っちゃったから。今年のオリックスは絶対行ける!」と背中を押された。
そんな、近いような、遠いような存在だった同い年が、来年はオリックスで正捕手の座を争うことになる。
新たなライバル関係。それがリーグ3連覇を狙うチームにどんな化学変化をもたらすだろうか。
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