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「何かスゲェーな」栗山監督はダルビッシュ有に、かつてのイチロー・松坂の姿を重ねた…WBC制覇へ、対面して確認し合った“同士の魂”
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2022/12/14 17:03
栗山監督もチームの中心として期待を寄せるダルビッシュ有。今季もパドレスで16勝を挙げ、好調を維持している
「ダルには宮崎キャンプから合流してもらいたいという話はしているが、ルール上どうなるのかはまだわからない。ただ、そういうこともひっくるめて飲み込んでくれている。『僕が行くことによって日本の若い選手のためになるのであれば』とダルも言ってくれた。若い人たちの感性も知りながら、自分がさらに進化するための場として彼自身が思っているのはとてもすごいこと。彼の日本野球への思いを感じた」
イチローが明かした「大輔は唯一かもしれないね」
06年、09年の大会でチームリーダーを務めたイチローさんは宮崎キャンプから侍ジャパンに加わり、チームの支柱であり続けた。メジャー現役時代に唯一負傷者リスト入りしたのは09年の開幕時。WBCの死闘が胃潰瘍を患わせた。優勝のために尽くし、日の丸のリーダーを背負い、未来への架け橋をも担う。だいぶ前のことになるが、そのイチローさんが松坂大輔氏の名を出しながら話したことがあった。
「大輔が背負っているものは何か人と違うものがある。常に自分だけではない何かを背負っている。あいつの中に秘めたものが必ずある。なかなか『同志』という存在はいないんだけど、大輔はそういう意味で唯一かもしれないね、僕にとっては」
ダルビッシュは23年シーズン終了後にフリーエージェントとなる。新たなる契約を考えれば、シーズンに集中しWBC出場は辞退してもおかしくない。だが、彼は出場を志願し、リーダーとして責務を負うことに協力を惜しまなかった。侍の魂はイチローさんから松坂大輔氏へ、そしてダルビッシュ有へと確実に引き継がれた。