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「何かスゲェーな」栗山監督はダルビッシュ有に、かつてのイチロー・松坂の姿を重ねた…WBC制覇へ、対面して確認し合った“同士の魂”
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2022/12/14 17:03
栗山監督もチームの中心として期待を寄せるダルビッシュ有。今季もパドレスで16勝を挙げ、好調を維持している
「こちらの思い、細かいことを詰めないといけないと思っていたら、ダルの方から『ジャパンに協力します。できる限りのことはします』と言ってくれた。僕以上にこれからの日本野球のために自分が何をしなければいけないかを意識している。お子さんが(8月に)生まれたばかりで家族の負担もある中で決断をしてくれた。感動したというか、何かスゲェーな、と。本当に感謝しかない」
栗山はダルビッシュをイチロー、松坂らと重ね合わせていた
栗山監督がダルビッシュに求めたこと。それは、チームの精神的支柱だった。現実的にその名を与えるかは別として、キャプテンでありチームリーダー。エース投手としての役割だけでなく、『メンター』としても求めた。
侍ジャパンは、3大会ぶりの優勝を目指す。しかし、決勝ラウンドでぶつかるであろう米国にしてもドミニカ共和国にしても、集うメンバーは『MLBオールスター軍団』となっている。日本を代表する頼もしきNPBオールスターメンバーが並んでも、ライバルたちは野球界最高のラインナップを揃えている。
勝つか負けるかの一発勝負では気後れしないことも重要となる。栗山監督は大会2連覇を果たした06年、09年大会でチームを牽引したイチロー、大塚晶則、松坂大輔の姿をダルビッシュに重ね合わせていた。
「過去のWBCの人たち、松坂大輔なんかでも『(06年に)大塚さんがいてくれて、メジャーで経験していて、こうなんですよというアドバイスがすごく大きかった。だから中にそういう人を入れた方がいいですよ』と言ってくれた。経験した人のそういうのを大事にしながらやっていきたい」
直接対面で確認し合った“魂”
今回、栗山監督が最も感動したことは、自分の思いをダルビッシュが汲み取ってくれたことではなかった。ダルビッシュ自身にその思いがすでにあったことだ。日の丸を背負い、経験と技術を後輩に伝え、日本球界の未来を真剣に考えていてくれたことが嬉しかった。まさに栗山監督にとっての『同志』。腹を割って確認し合いたかったのはこの気持ちの部分、魂だった。