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大谷翔平の“トレード問題”は消滅していない…エンゼルスは低迷中、代理人「1年契約が適切だと思う」と意味深発言の真意とは?
posted2022/12/12 06:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
KYODO
メジャー5年目のエンゼルス大谷翔平が、投手として15勝、打者として34本塁打と活躍し、史上初めて規定投球回数&規定打席の「ダブル規定」をクリアする偉業を成し遂げた。それでも、エンゼルスが2014年以来、8年連続でポストシーズン進出を逃したこともあり、MVPは次点、サイ・ヤング賞は4位に終わった。
その一方で、来季終了後にFA(フリーエージェント)となる大谷に対し、エンゼルスは公式戦終了目前に1年3000万ドル(約42億円)の条件で契約し、今オフの年俸調停を回避した。
長期の契約延長ではなく、単年となったことで、その後、米メディア内ではオフ期間に大谷がトレードされる可能性が取り沙汰された。それらの情報をシャットアウトするかのように、ペリー・ミナシアンGMは、ラスベガスで行われたGM会議の際、「大谷がこの冬の間に動くことはない。来春の開幕戦ではエンゼルスの一員としてプレーする」と、移籍の可能性を否定した。
“単年契約”は何を意味している?
もっとも、大谷のトレードが完全に消滅したわけではない。同GMの発言を耳にした代理人のネズ・バレロ氏は「多くの異なるうわさがあって、それはとても良かった」とコメントした。ただ、今後の契約延長交渉については「今は1年に集中しており、1年契約が適切だと思う」と含みを持たせた。
というのも、エンゼルスは今季途中、オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏が球団売却計画を発表。売却先も時期も不透明な状況となった。今後の球団再建策も、すべては新オーナーの意思次第となるため、大型契約を簡単には進められない。
ミナシアンGMの発言にしても、今オフ中のトレードを否定したもので、来年7月末のトレード期限については言及していない。本来であれば、長期の大型契約を望むはずの代理人のバレロ氏が、単年契約を「適切」と言い切ったのも、トレードの可能性を想定したものと言っていい。裏を返せば、現時点では「一時凍結」であり、来季のエンゼルスが今季のように早々と優勝争いから脱落すれば、再び大谷移籍の可能性が浮上することは避けられそうにない。
大谷のトレード、球団の売却先を含め、低迷エンゼルスは激動のシーズンを迎えることになりそうだ。