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フランス×イングランドは「究極の矛」対「究極の弓」…対エムバペのダブルチームは発動されるのか? 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2022/12/08 13:30

フランス×イングランドは「究極の矛」対「究極の弓」…対エムバペのダブルチームは発動されるのか?<Number Web> photograph by Getty Images

決勝トーナメント1回戦でも、エムバペは爆発的なスピードでポーランドの守備陣を何度も切り裂いた

 ところが、アメリカ戦に同じスタメンで臨んだところ、0対0の引き分けに終わってしまう。サウスゲート監督はテコ入れが必要と感じたのだろう。B組第3戦のウェールズ戦では、ライスをアンカーに置く4−3−3を採用する。そこでインサイドハーフに選ばれたのがベリンガムとヘンダーソンだった。

 イングランドはウェールズに3対0で快勝すると、決勝トーナメント1回戦のセネガル戦も同じく4−3−3で臨み、中盤にはライス、ベリンガム、ヘンダーソンを継続起用する。

 すると前半38分、ケインが左サイドに流れてパスを受けて反転し、裏へ飛び出したベリンガムに絶妙のスルーパス。ベリンガムが左足でゴール前へ折り返すと、走り込んだヘンダーソンが左足で先制点を決めた。

 ケインが「弦」を引っ張るかのように左右や後方に下がり、そのエネルギーを利用してベリンガムとヘンダーソンが「矢」のように飛び出す。3人が連動して走り、プレーする様はまさに「究極の弓」だ。

 アメリカのオンラインメディア『The Athletic』は「ベリンガム、ヘンダーソン、ライスの中盤3人が突然機能し始めた」と絶賛。イングランドは4−3−3によって勢いに乗ることに成功した。

イングランドは「超人」をどう抑えるか

 だが、相手はエムバペを擁するフランスである。「超人」に対して何かしらの対策が必要だろう。

『The Athletic』によれば、サウスゲイト監督は右サイドのDFを増やす案を検討しているという。

 セネガル戦の4バックはカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、ハリー・マグワイア、ルーク・ショーというセットだったが、そこに右サイドバックのキーラン・トリッピアーを加えて5バックにするのだ。同メディアはベリンガム、ヘンダーソン、ライスの中盤トリオは継続起用されると見ており、5−3−2の布陣になりそうだ。

 エムバペに対して、トリッピアーとウォーカーという「ダブルチーム」がどれだけ守れるか。そしてFWの枚数・構成が変わったときに、ケインを中心とする「弓」が変わらず機能するのか。それが勝負の行方を左右するだろう。

 ブックメーカー「bet365」はフランス勝利54.3%、イングランド勝利45.7%と予想している。

「究極の矛」vs「究極の弓」。W杯の歴史に残る名勝負が見られるに違いない。

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