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「ブラボー!」GI初制覇、石川裕紀人はお立ち台で叫んだ…“転向組”の上がり馬・ジュンライトボルトはいかにチャンピオンズCを勝ったのか?
posted2022/12/05 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
秋のダート王決定戦を制したのは、この夏芝から路線変更したばかりの「上がり馬」だった。
第23回チャンピオンズカップ(12月4日、中京ダート1800m、3歳以上GI)を、石川裕紀人が騎乗した3番人気のジュンライトボルト(牡5歳、父キングカメハメハ、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。ダート路線に転向してから僅か4戦目にして、見事、GI初制覇を遂げた。
お立ち台では「ブラボー!」
ラスト300m地点でもまだ、ジュンライトボルトの前は馬群に塞がれていた。ラスト200m付近でテーオーケインズの外に進路ができると、石川はそこにジュンライトボルトを誘導し、右ステッキでゴーサインを出した。それに応えたジュンライトボルトは豪快にストライドを伸ばし、ダートとは思えぬほどの瞬発力で内の馬たちを一気にかわし、先頭でゴールを駆け抜けた。
お立ち台に上がった石川は「ブラボー!」とサッカーW杯日本代表の長友佑都ばりに喜びを表現した。
「めちゃめちゃ嬉しいです。何よりジュンライトボルトに感謝を伝えたいと思います。進路が見つかれば弾けてくれると信じていました。馬の反応が勝てるだけの手応えだったので、何とかとらえてくれ、という気持ちでした」
まるで、前週、ライアン・ムーアを背にジャパンカップを制したヴェラアズールのような抜け出し方だった。以前からムーアを目標に挙げていた若武者が、その世界の名手に優るとも劣らぬ手綱さばきで、騎乗馬の瞬発力をフルに引き出した。