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「勝ちに飢えた大谷翔平の気迫が…」地獄の14連敗を止めた101マイル…番記者のペンも心も震えた“投手・大谷”の2022年ベストゲーム
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2022/11/28 11:00
6月9日のレッドソックス戦、7回1失点の好投と逆転2ランでエンゼルスを勝利に導いた大谷翔平。「自分が連敗を止める」と誓ってマウンドに上がっていた
「自分だけじゃない。みんな勝ちたい気持ちはあるが、なかなか思うように投打が噛み合わないとかストレスがたまる中で、何回か登板は回ってきたが、もっともっと早くこういう風に(勝利)できれば良かった」
少しの安堵と、悔しさ。淡々と話す中にも、大谷の心の揺れが確認できたように思う。
負の連鎖を自らの右腕で食い止めた。
100球のうち、速球が40球。「全体的にスライダーが多かった」というシーズンで、この日は真っ直ぐが多く、そこに思いを感じた。
大谷は「嵐」に立ち向かって、チームに半月ぶりの勝利をもたらした。
WBCで「ヒリヒリした3月」を過ごせるか
シーズンMVPは、ヤンキースのアーロン・ジャッジが獲得した。大谷とジャッジの一騎打ちとなったが、投票結果はジャッジの「圧勝」だった。
この結果には色んな見方があるが、記録的なシーズンを送った2人の決定的な違いは、チームの順位だ。
負の連鎖が続くチームで、シーズン後半もその空気に抗い続けた大谷のパフォーマンスには大きな価値があると思うが、そう捉えない記者もいる。
シーズン最終戦、大谷は個人のパフォーマンスを問われた時、「全体的には良かった」と言った上で続けた。
「今日で終わってしまうのは不本意。本来ならここから本番ぐらいな感じ。それを目指して頑張りたい」
自身の記録より、チームの勝利。それが、大谷の一番の拠り所となり、高いパフォーマンスを出せる原動力となる。
6月9日の試合も、鬼気迫る執念を感じた。
「ヒリヒリした9月を過ごしたい」
来季こそ、大谷の切なる思いは届くのか。
まずはWBCで、「ヒリヒリした3月」を見たい――。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。