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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
番記者が選ぶ「打者・大谷翔平」の今季ベストゲームとは? ジャッジとの“MVP対決”で放った30号に「野球少年に戻ったような…」
posted2022/10/29 11:02
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Nanae Suzuki
2022年、MLB史上初めて投手と打者の双方で“規定投球回・規定打席数”に到達するという快挙を成し遂げた大谷翔平。記者として現地で同選手を追い続けた阿部太郎氏が、日本人選手初の2年連続30本塁打を記録した「打者・大谷翔平」の今季ベストゲームを振り返る。(全2回の1回目/「投手・大谷翔平」編も読む)
MVP論争が白熱するなかで迎えた直接対決
「MVP、MVP、MVP」
いつものエンゼル・スタジアムなら、大谷翔平に向けたファンのコールだが、8月最終週のヤンキース3連戦は様相が違った。
折しも、ヤンキースのアーロン・ジャッジが記録的なペースで本塁打を重ね、背番号99のピンストライプのユニホームを着たファンが大挙してエンゼル・スタジアムを埋め尽くしていたのだ。
既にプレーオフ争いから脱落したエンゼルスのファンの声援は、「ジャッジ・フィーバー」に沸くヤンキースファンの熱量にかき消されることもあった。ゆったりした空気が流れる西海岸のスタジアムが一変した。
観客数は、連日の4万人超え。
そんな雰囲気の中で、エンゼルスの大谷翔平は闘志をむき出しにしていたように見えた。
「大谷vs.ジャッジ」
MVP論争が熱を帯び、どちらがMVPにふさわしいか、侃々諤々の記事が飛び交っていた。日本メディアもこぞって、米記者にどちらがMVPを取るか、取材に奔走していた。
3連戦が始まる前からMVP対決が話題になったが、試合でも、まさにその2人が主役になった。初戦は、大谷がチームを勝利に導く決勝の29号2ラン。ジャッジも負けじと節目の50号を放った。第2戦はジャッジが4-2から、51号3ランでダメを押した。大谷は2安打で応戦したが、この日の主役はジャッジだった。