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「勝ちに飢えた大谷翔平の気迫が…」地獄の14連敗を止めた101マイル…番記者のペンも心も震えた“投手・大谷”の2022年ベストゲーム 

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阿部太郎

阿部太郎Taro Abe

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posted2022/11/28 11:00

「勝ちに飢えた大谷翔平の気迫が…」地獄の14連敗を止めた101マイル…番記者のペンも心も震えた“投手・大谷”の2022年ベストゲーム<Number Web> photograph by Getty Images

6月9日のレッドソックス戦、7回1失点の好投と逆転2ランでエンゼルスを勝利に導いた大谷翔平。「自分が連敗を止める」と誓ってマウンドに上がっていた

「自分が連敗を止める」大谷が投じた気迫の101マイル

「(連敗で)回ってきたものはしょうがない。前回もそうだったが、自分が止めるという気持ちでマウンドに上がった」

 プレーボールがかかって、その1球目、引っかかってボールになったが、98マイルを計測した。捕手のマックス・スタッシも、この球を受けて感じ取ったという。「これはやる気だな」と。

 2球目も98マイル、3球目は99マイル。もちろん、ゲームプランもあるだろうし、体の状態も良かったと思うが、この日は真っ直ぐが強く、そして、走った。

 ハイライトは0-0の3回2死二塁、強打者のラファエル・デバースを迎えた場面。大谷のスイッチが切り替わるのが分かった。

 初球はカーブ。その後は、第1打席で空振り三振に仕留めたスプリットを軸に攻めたが、1ボール2ストライクからスプリットが引っかかって暴投。2死三塁となった。

 次の球は、この時点で今季最速のボールだった。

 101マイル。

 捕手の構えは内だったが、少し外に流れた。それでも、関係なかった。

 唸りを上げた球に、好調のデバースのバットは空を切った。

 その瞬間、大谷は力強く拳を握り、ベンチに戻った。

「ほえた」「ガッツポーズ」興奮した筆致で殴り書き

 7回1失点。5回に犠飛で先制されたが、直後に自らの2ランで逆転してみせた。値千金の一打で沸き上がるベンチとは対照的に、表情を全く緩めなかった。

「打ったのは打ったで終わっている。逆転した次の回は特に大事。そのことを考えていた」

 大型連敗中、悲劇的な逆転負けは何度もあった。気を緩めたらやられる。6回は2死一、二塁のピンチを招いたが、99マイルの速球で抑え、7回は下位打線を3人で切った。

 スコアブックの7回の項目には、7番打者の欄に「ほえた」と記し、9番打者に「ガッツポーズ」と殴り書きした。最後のイニングの気迫に、興奮が隠せないような筆致だった。

【次ページ】 WBCで「ヒリヒリした3月」を過ごせるか

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