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「ホンダ、カガワ」が今も一番有名な日本人選手!? “意外と知らないコスタリカのサッカー文化”をプレー経験ある人に聞いてみた
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA,Getty Images
posted2022/11/27 06:00
日本代表が戦うコスタリカ代表って、どんなお国柄?
「コロンビア人監督のルイス・フェルナンド・スアレスです」
――戦術が国民性とマッチしていない、などでしょうか。
「戦術自体は守備をベースにした戦い方で、今までの形を踏襲しているとは感じます。ただメディア対応や人心掌握といった面でうまくいっていないのかな、という」
知ってる選手は「ホンダとカガワ」が一般的
――そんな中で迎えたW杯ですが、グループリーグ組み合わせに対する印象はどんな感じなのでしょうか?
「やはり“スペイン、ドイツと同じグループに入ってしまったか”というのが正直な印象でしょうか。そしてこれは日本も同じかと思うのですが……コスタリカは“日本戦では絶対に勝ち点3を奪わなければならない”という位置づけで挑むと思います」
――日本について具体的に注意している選手は誰でしょうかね。
「実はこれが、現在の日本人サッカー選手についてあまり知らないんです。知っている選手となると“ホンダ(本田圭佑)とカガワ(香川真司)”というのが一般的なところでしょうか」
――ぐぬぬ……ブンデス、プレミア、リーガで活躍している鎌田大地や遠藤航、冨安健洋に三笘薫、久保建英らがいるというのに。日本にとってはW杯で、コスタリカでのイメージを一新するための一戦にもなると言えそうです。
「その辺りの印象が変わるようなW杯になってほしいな、と心から思いますね」
スペイン相手の0-7に「国へ帰ってくるな!」
このような話を聞いた数日後……日本がドイツ相手にジャイアントキリングを起こし、コスタリカはスペインに0-7の大敗を喫した。追加取材で斉藤さんに現地報道や知り合いからもらった印象について聞いた。
――スペイン戦、ここまでの大敗になるとは思いませんでしたね。
「そうですね。私がアジア担当の代理人をしているルイス・フェルナンドという五輪代表監督の経験もあるコスタリカ人指導者がいるんですが、彼とやり取りをしました。あ、念のため説明すると、現コスタリカ代表監督とは同姓同名の別人です」
――今一瞬、びっくりしました(笑)。この結果、現地ではどう受け止められているんでしょうか。
「やはり批判に溢れているそうです。『これまでのW杯で最悪の試合をした』『コスタリカの名前を汚してしまった』、さらに厳しいのは『コスタリカに帰ってくるな!』というものもあるとか。ただ私個人の見解を言わせてもらえれば、コスタリカの出来というよりも、今回のスペインが強くてうまくて、コンディション的な仕上がりが圧倒的にいいという印象が強いです。なので“コスタリカが弱い”とは感じませんし、次の日本戦については切り替えて臨んでくるのではとも感じます」
――ドイツに勝った日本については?
「まずルイスからは『おめでとう!』と祝福され、コスタリカの人の優しさに触れましたね(笑)。日本については先日話した通り、もちろんナメているわけではないけど、勝ち点3を取りに行く相手と認識していました。しかしアジアは南米ヨーロッパに比べるとレベルが低いと見られがちで、“強豪国相手にあれだけやるとは”と驚きの声が上がっているとのことです。そしてルイスも同じく『想像以上にレベルが高い』と感心していましたね。彼も日本のサッカーに対して興味を持っているので、今回の一戦が両方の国にとって、サッカーでの懸け橋になることを願っています!」
スペイン相手に負けて打ちひしがれた一方で、ドイツに勝利した日本にもコスタリカの関心の目が向いているのは確かなようだ。グループステージ突破に向けて非常に重要な第2戦は、一体どのような展開になるだろうか。
斉藤誠司(Seiji Saito)
1986年5月27日、埼玉県生まれ。J1柏レイソルの下部組織に所属し、16歳でブラジル名門のサンパウロFCユースに移籍。18歳でプロ契約を結び、その後はポルトガル、ポーランド、バーレーン、コスタリカなど、世界11カ国でプロ選手としてプレーした。指導者としては、プロのクラブも指揮が可能な、ブラジルサッカー協会公認の「ABTE指導者ライセンス」を取得し、6カ国の育成年代チームで指導(ブラジル・ラトビア・ポルトガル・マカオ・ドイツ・日本)。現在は世界各国でサッカー代理人として活動し、日本とブラジルでは経営者としてサッカーアカデミーを運営している。
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