――クラブで長くプレーしてきた谷口彰悟選手の歩みにはどんな印象がありますか？　徐々に日本代表に定着し、W杯にたどり着きました。

鬼木　個人的には非常にいいものをたくさん持っていると思っていましたし、それこそ代表で経験を積むことができれば、もう1つ上のレベルにいけると思っていました。Jリーグでも前線に外国人選手を置くチームは多く、グループの中で抑えることはずっとやってこれていた。自分のやるべきこと、やれることを本当にコツコツやり続けて高いアベレージを出せるようになったと思います。

　今は海外でプレーするCBが多いので評価が難しいところだと思いますが、単純に海外でプレーする日本の選手にもビルドアップや対人の部分で負けていないし、上回っている部分も多いと思います。彼が勝ち取ったものはJリーグにとっても素晴らしいことだと思います。

谷口彰悟　©︎Kiichi Matsumoto

――過去に本人も日本代表を諦めそうになった時期があったと話していたことがありました。続けることの大切さを感じますね。

鬼木　常に日本代表という目標があったと思いますが、リーグ優勝という結果を残してもなかなかメンバーに定着できない時期がありました。それでも単純に環境だけのせいにせず、やり続けられた。どういう努力をすれば目標に辿り着けるかをずっと考えながらやってきた選手だと思います。

「ミキはとにかく100%男なので（笑）」

――Jリーグ勢からは山根視来選手も選出されました。彼についてはどんな思いがありますか？

鬼木　ミキは加入した時（2020年）からなんでも吸収して上手くなってやろうという気概を感じる選手でした。湘南（ベルマーレ）で学んできた、メンタリティーや最後まで頑張り切れるところなどしっかりとしたベースがある選手でしたが、そこからフロンターレの良さを学んで、一段レベルアップをしようと努力していました。攻守において常に全力を発揮できるのが彼の最大の特長だと思いますね。

――体を張った守備やボールへの執着心などを見せるあたり、これまでフロンターレにあまりいなかったタイプの選手ですよね。

©︎Kiichi Matsumoto

鬼木　まだまだ成長しなければいけない部分はありますけど、ミスを恐れずにどんどんチャレンジする姿勢は大したもんだなと思っています。DFながらも緊張感ある代表マッチで「やってやるぞ」という気持ちを前面に出してプレーできることは、彼の強みです。今までは代表に入るために必死にもがいてアピールしていましたが、最近はコンスタントに呼ばれるようになったことでまた違った重圧があったと思います。それでも、そういったプレッシャーに潰されることなく、自分のプレーをしっかり出していると思います。とにかくいつも“100%の男”なので、W杯のピッチでもそれを前面に出してほしいですね。

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