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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「人に踏まれる趣味はない」と当初言われたけど…“足でマッサージする日本人”がプレミアW杯戦士や吉田麻也に超信頼されるワケ
posted2022/11/20 11:01
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Maddie Meyer-FIFA/Getty Images, Kiichi Matsumoto
日本代表DF吉田麻也のトレーナーを務める木谷将志氏は、彼個人としても活躍の場をプレミアリーグで広げている。吉田の体をケアするだけでなく、世界最高峰プレミアリーグの各国代表選手を数多く請け負っているのだ。レギュラーのクライアントは10選手。1日で5~6名ほど施術を行う日もあり、多忙な日々を送っている。
「なんじゃそりゃ!?」「人に踏まれる趣味はない」
だが、最初からすべてがうまくいったわけではない。
木谷は2013年に吉田の個人トレーナーになったのを機に、日本からイングランドに定期的に渡るようになった。「腕がいいので日本からトレーナーに来てもらっている」と吉田が説明すると、チームメートたちは一様に興味を示したという。しかし吉田が「体を足で踏む施術なんだ」と続けると、すぐさま怪訝な表情に変わった。
欧州全土を見渡しても足を使った施術は皆無で、「なんじゃそりゃ!?」「人に踏まれる趣味はない」と半信半疑のリアクションが返ってきた。
ところが、懐疑的な眼差しはすぐに変わった。
当時サウサンプトンの主将だったポルトガル代表DFジョゼ・フォンテが試しに施術を受けると、「すごい!」と木谷の虜になった。
評判はチームメートの間ですぐに広がり、ジェームズ・ウォードプラウズ(イングランド代表)やピエール=エミール・ホイビェア(デンマーク代表)、ヤン・ベドナレク(ポーランド代表)、ヤニク・ベステルゴーア(デンマーク代表)、スチュアート・アームストロング(スコットランド代表)、オリオル・ロメウ(元スペインU-23代表)といったサウサンプトンの選手たちが次々とクライアントになった。吉田以外にサウサンプトンで顧客が増えたことも後押しとなり、木谷は2019年4月に家族を連れて英国に移住したのである。
根本的な原因を突き止めて治療し、それをまた足で行う
足を使うことで筋肉の深層部にアプローチを仕掛ける木谷の施術は、選手から「他では得られない効果がある」ともっぱらの評判だ。しかも木谷の強みはそれだけではない。患部だけでなく体全体を診ていくことも特長のひとつだという。
木谷は語る。