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吉田麻也34歳の“肉体改造”を支えて10年目・日本人トレーナーの秘技は“手じゃなく足で施術”…「彼はそうやって欧州で生き残った」

posted2022/11/20 11:00

 
吉田麻也34歳の“肉体改造”を支えて10年目・日本人トレーナーの秘技は“手じゃなく足で施術”…「彼はそうやって欧州で生き残った」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本代表の最終ラインを長年支えてきた吉田麻也。彼の肉体を支え続ける日本人トレーナー木谷氏に話を聞いた

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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Kiichi Matsumoto

 カタールW杯に日本代表キャプテンとして臨む吉田麻也(34)。彼の身体を長年にわたって支え続けてきたトレーナー木谷将志氏にその歩みを聞いた(全2回の1回目/#2も)

「吉田麻也選手には、『麻也史上ベスト』の形でW杯に挑んでほしいと思っています」

 そう力を込めるのは、吉田の個人トレーナーを務める木谷将志氏だ。2013年から吉田の体をケアするようになり、個人トレーナーとして今年で10年目に入った。吉田が34歳で迎えるカタールW杯を前に、木谷は「ずっと一緒に歩んできた。カタールW杯もやりきってほしい」とエールを送った。

イタリアに行こうがドイツに行こうが全力でサポート

 2人の出会いは日本だった。2013年、愛知県名古屋市にある接骨院の分院長だった木谷は、慢性的な股関節痛に悩んでいた吉田を診察することになった。木谷はこう振り返る。

「麻也がちょうどプレミアで1シーズン目を終えたときに会いました。彼がサウサンプトンに在籍していた時です。どんな治療をしてもダメという状態で、日本に戻ってきた。紹介を受けて施術を担当させてもらうと、回復に向かったのです。そこからの付き合いになります」

 吉田の体を診るため、しばらくは日本とイングランドを行き来する忙しい生活を送っていたが、2019年4月に大きな決断を下す。吉田の個人トレーナーとして、木谷は英国への移住を決めたのだ。吉田のサウサンプトン在籍時は、日本代表DFの自宅から車で5分の距離に生活拠点を置き、すぐ側で日々のメンテナンスに従事した。

 20年1月に吉田がイタリアのサンプドリアに移籍した後も、個人トレーナーとして支えた。

 木谷がイタリアビザを所持していないためサンプドリアに移り住むことはなかったが、定期的に英国から海を渡って吉田の体をケアした。離れていてもズームや電話でこまめに連絡を取り合い、問題が生じればすぐに具体的なアドバイスを送った。「イタリアに行こうがドイツに行こうが、私のできることは彼を全力でサポートすること。その考えは変わらないです」と木谷は言う。

 ドイツのシャルケに移籍した今シーズンも、日本代表DFのサポートを続けている。

なぜ手じゃなくて足を使って施術するの?

 木谷の施術は、日本でも極めて珍しい。なんと自身の足を使うのだ。

 木谷によると、足なら手に比べて3~4倍の圧力をかけることができ、しかも手では生み出せない独特のリズムで体全体にアプローチをかけることができる。

「足でやる一番の違いは、圧力とリズムです。足を使えば、手では届かない深部まで圧力をかけることができます。また足で踏むことによって、手では生み出せない独特のリズムを作れる。イングランドにもトレーナーはもちろんいますが、欧州全土を見渡しても足で施術を行う人はいません。足を使って筋肉の深層部までアプローチをかけるところが、欧州のトレーナーとの大きな違いです」

 このように木谷は説明する。

 吉田の紹介を受けて木谷のクライアントになったイングランド代表MFジェームズ・ウォードプラウズが「マジシャン!」と、その腕を絶賛するほどだ。

【次ページ】 力強さをつけながら、しなやかさを落とさない

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