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プロ野球PRESSBACK NUMBER
身長173cmでなぜあの打球? 高校時代の恩師に聞いた吉田正尚の強烈スイング秘話「一塁ゴロで敵が骨折」「高校時代はむしろ細いほう」
posted2022/11/15 11:02
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
KYODO
173cmという小柄な体格を感じさせないフルスイングで、チームを何度も勝利に導いてきた吉田正尚。今秋の日本シリーズでも、第5戦では球団初となるサヨナラホームランを放つなど躍動し、優秀選手に選出。2年連続のパ・リーグ制覇、そして26年ぶりの日本一達成に大きく貢献して、改めて存在感の大きさを感じさせた。
吉田の恩師である敦賀気比・東哲平監督に“吉田正尚評”について尋ねると、半分呆れたような笑みを浮かべながらこう振り返る。
「今でもあんな打球を飛ばす高校生は見たことがないですね。しかもあの体の大きさであれだけ振れる。いやー、なかなかああいう選手は出てこないと思いますよ」
ボールが潰れるような打球音
福井県福井市出身。中学時代は地元の強豪「鯖江ボーイズ」に所属。当時は今ほどがっちりとした体格ではなく、そこまで目立つ存在ではなかった。だが、東監督は何度か視察を重ねるうちに、やたらと打球を飛ばす吉田少年を次第に目で追うようになる。
「ポンポンと面白いように飛ばす子がいたんですよ。え、でも体は小さいのに……何なん? って、最初はビックリしましたね」
あまりの光景に東は目を疑った。進学先が決まっていなかったことを知ると、すかさず吉田に声をかけた。やがて敦賀気比への入学が決まると、指揮官としてこんな言葉を託す。
「4月から4番を打てるように準備をしておいてくれよ」
その期待通り、吉田は春の大会から4番に座った。当時は大砲不在で、エースの山田修義(現・オリックス)を中心に守り勝つチームだった。そんなチームの空気を吉田は変えた。
「選手からしたら、どえらいヤツが入ってきたという感じでしたでしょうね。ロングティーをしたら120mは優に飛ばす。ボールを打つというより、なんかこう、ボールを潰しにいっているような音がするんです」