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福井優也34歳、戦力外通告→トライアウトへ「あと、1年だけでもいい。死に場所は海外でも」“早大BIG3”斎藤佑樹と大石達也もエール
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/11/07 17:01
今季の一軍登板は11試合に終わり、戦力外通告を受けた福井優也(34歳)。現役続行への望みを懸けてトライアウトに登板する予定だ
「球団(楽天)には広島からトレードで来た自分を支えて頂き、感謝の思いでいっぱいです。でも燃え尽きたいんですよね。あと、1年だけでもいい。燃え尽きることができれば、それでいいんです。今もこれだけブルペンに入ることができていて、感覚が良い状態で辞めることはできないんです。(11/8の)トライアウトを受けて、また何か見えるかもしれない。NPBが厳しくても、“死に場所”は海外もありかもしれない。国内の独立リーグでもまだまだ得るものや勉強になることがたくさんあると思う。
幼い娘もいますし、来年生まれてくる予定の子どもが妻のお腹の中にいます。生活をしていかなければいけないことは重々承知ですが、でも、こんなにあっけなく野球人生が幕を下ろすのは納得できないんです」
現役続行の思いを家族にも明かし、背中を押してもらった。妻は自ら球速表示や球質のデータ、バッターとの対戦データを取り、「まだ投げられるよ」と一緒になって福井の可能性を信じてくれている。
広島、楽天には「感謝しています」
「NPB、カープ、イーグルスには本当に感謝しています。イーグルスは引退を受け入れるならファン感謝デーで引退セレモニーを準備すると言ってもらいました。本当にありがたかった。ただ、これだけ投げられる……と自分を客観的に見れば見るほど投げたい、投げろという自分がいるんですよ。これまでたくさんの先輩方を見てきて、引退時の自分の姿を常に想像してきました。その姿と現実とは違いました。まだ燃え尽きていない自分がいるんです」
30代半ばとなっても未だ150キロ前後の真っすぐを投げることが出来るタフネス。精神的にも気持ちは前を向いている。今の心境を包み隠すことなく明かす福井の表情を見て、まだマウンドに立てる気概はあると感じた。
斎藤や大石とはまた違った道を歩んでくれるに違いない。福井優也の人生賛歌に最後まで酔いしれたいと思う。
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