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「いつもこんなところまですいません」新庄監督が期待する“逆輸入”加藤豪将ってどんな人? 現地記者が知る28歳の素顔〈大谷と同い年〉
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKYODO
posted2022/11/07 11:04
日本ハムにドラフト3位で指名され、新庄剛志監督と入団会見に出席した加藤豪将(ごうすけ、28歳)
「メジャーで開幕ロースターに入って、5万人の前に自分が立ったらどういう気持ちなんだろうってずっと思っていました。もう野球始めて20年くらいなんですけど、ずっと涙が出るのかなって思っていたんです。ただ、実際はそうではなかった。それよりも、今は自分のポテンシャルを最大限に発揮したいっていうことの方に執着が出てきています。
メジャーの開幕ロースターに入ったり、打席に立ち、ヒットが出るとかっていうのは、僕の道のサイドエフェクト(副賞)であって、それを目指しているわけではなかったんですよ。自分のポテンシャルを最大限に出して、ベストチームメイトになりたいというのが自分のゴールだったんです」
壮大な魔力を持つ魔法使いに出会う旅の途中、その冒険の中で自らが望むものをすでに手に入れていた「オズの魔法使い」の登場人物たちのように。考え方が変わったというより、本当に自分が求めていたものに気づいたと言った方が正確だろうか。そんな加藤が新たに得たフィロソフィーは今季後半、マイナー生活が長くなり、シーズンが終わりに近づいても変わらなかった。
「メジャーでも3Aでも野球は野球」
「マイナーで10年くらいやってきましたけど、環境が変わっても、メジャーでも3Aでも、野球は野球です。嬉しさとか、楽しさ、満足感というのは、自分の一日一日のスイングからも得られます。それは結果じゃなくて、メジャーじゃなくて、自分だけのもの。満足感も味わっているので、今でも楽しいですよ」
常に正直な加藤の言葉に強がりや誇張は感じられず、メジャーへのこだわりはいい意味でなくなっているようにも見えた。こういう考え方をする選手であれば、さらに自分を成長させる手段として、他の場所でのプレーを考慮しても不思議はない。
そんな時に日本ハムから高い評価を受け、ドラフト指名されたのであれば、ここで日本での新しい挑戦を選んだことは自然の流れだったようにすら思えてくるのである。