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「いつもこんなところまですいません」新庄監督が期待する“逆輸入”加藤豪将ってどんな人? 現地記者が知る28歳の素顔〈大谷と同い年〉
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKYODO
posted2022/11/07 11:04
日本ハムにドラフト3位で指名され、新庄剛志監督と入団会見に出席した加藤豪将(ごうすけ、28歳)
カリフォルニア生まれの加藤は2013年ドラフト2巡目指名(全体66番目)でヤンキース入り。今年、ブルージェイズの一員として初のメジャー昇格を果たし、初安打も記録した。メッツに移籍後は3A暮らしが長くなったが、それでもメジャーは常に手が届くところにあった。ようやく“夢の場所”に到達したまだ20代の選手が、目の前に広がるフィールドのことしか考えられないのは当然のことである。
このままアメリカに残れば、来季もメジャーでプレーする可能性は十分にあったはずだ。そんな背景もあって、今季終盤頃も、加藤が日本球界を視野に入れているという雰囲気はほとんどなかった。
「日本に行った方が待遇はいいのでは」と冗談めかして話したときも、本人はほとんど取り合わなかった。「ここでスープとかサンドイッチ(といったマイナーの食事を)食べているよりはいいのかもしれないですね。でもそんなに気にならないんですよ」と笑っていたくらい。「メジャーに上がっても、チームに合流する時の飛行機はまだエコノミーなんですよね」と悪戯っぽく述べた姿を見ても、まだまだハードなアメリカンライフを継続する意思は十分に思えたのだった。
涙が出なかった“メジャーデビュー”
ただ……その一方で、改めて考えてみると、日本ハムから指名を受けた加藤が入団を選んだことはやはり驚くべきではなかったのだろう。思い返せば今季、悲願のメジャー入りを成し遂げた後、加藤の口ぶりに明らかに変化があったからだ。
マイナー生活が長く続き、今年が10年目。キャンプの頃はとにかく「メジャーデビューしたい」とそのことしか頭にないようだったが、実際に4月にデビューを果たすと口ぶりはすぐに変わった。夢に見続けたメジャーのフィールドに立っても、予想していたような感激の涙は流れてこなかったのだという。