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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
番記者が選ぶ「打者・大谷翔平」の今季ベストゲームとは? ジャッジとの“MVP対決”で放った30号に「野球少年に戻ったような…」
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byNanae Suzuki
posted2022/10/29 11:02
現地時間8月31日のヤンキース戦、ゲリット・コールから30号3ランを放った大谷翔平。アーロン・ジャッジとの“MVP対決”にファンは酔いしれた
チーム状況を超越した「勝ちたい」という思い
7月、チームの負けが続いた時期の大谷の表情は険しかった。笑顔も消えていたように思う。
だが、ヤンキースとの3連戦、そして最終3戦目で、決勝3ランを放った時の表情は、気迫に満ち溢れ、ベンチに戻ると、喜びを隠そうともしなかった。
仲間からの「ウォーター・セレブレーション」にはおどけてみせた。
試合後、ジャッジとのMVPレースがモチベーションにつながっているか、と問われた大谷は「もちろん、モチベーションになる。そういう形になるか、ならないか、プレーヤーとして違いは出てくる」と話したが、「ただ」と付け加え、続けた。
「1試合、1試合、今日のいい場面で打てたのもそうだが、勝ちを意識して頑張っていれば、おのずと数字はついてくる。一番はそこ」
シーズン最終戦で、「8、9月は目指すところが見えないむずかしさがあった」と振り返った。
「勝ちたいというのがモチベーション」という大谷にとって、チームが再建モードに入り、若手を試し、勝っても、負けても淡々と流れる時間は、受け入れられなかったのだろう。
だが、名門ヤンキースが、ジャッジという存在が、置かれているチーム状況を超越した。ただ、ただ、「勝ちたい」というシンプルな思いが体を突き動かしているような打撃だった。
野球少年に戻ったような表情を見せたこの試合が、打者・大谷にとっての今季のベストゲームだったように思う。
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