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新チーム発表翌週に骨盤骨折も…「不死鳥」39歳や元F1レーサー片山右京らが本気で「日本初のツール・ド・フランス」を狙うワケ
text by
赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byJAPAN CUP CYCLE ROAD RACE 2022
posted2022/10/26 17:01
JCLで片山右京らが創設した新チームは本気でツール・ド・フランス出場を狙っている
「僕、ブリッツェンに入るまでは、ただもう自分が強くなりたい、上で走りたいという気持ちでやってました。でも、いざ伸び悩んだ時に、ひどく落ち込んで、なかなか立ち直れなかったりしたこともあったんです。そんな時、ブリッツェンに入って、新たなモチベーションの作り方を見つけられました。新しい競技のやりがいを得たというか」
その「新たなモチベーションの作り方」を教えてくれた先輩が、増田だったという。
「増田選手はベテランなのにまったく枯れることなく、まだまだ強くなるんじゃないかというところを見せてくれました。30歳超えてから下火になる選手もいる中で、あんなふうにモチベーションを高く持っていれば、競技を続けることもできるんですよね。これからも学ぶことはたくさんあると思います」
それは、1年や2年で出られるわけはありません
そう語る岡と増田は、来年からJCL TEAM UKYOでふたたび師弟、かつチームメートになる。増田は今、片山右京代表の新チームに、どんなやりがいを見出しているのだろう。
「選手はモチベーションがなくなった瞬間に枯れると思うんですけど、幸い、僕の中ではまだ、それが続いてるんです。新しいチームで活動を始めることで、また頑張ろうという気持ちになっている。
力は自然に、右肩下がりで落ちていくものでしょう。年齢には逆らえませんから。その中で、39歳の限界を見てみたいんです。
そういう思いと、もう自分がチームで一番でなくてもいいという思いがある。来年からはいいチーム作りをしたいということが、今の僕のモチベーションになっています」
チームが掲げているツール・ド・フランス出場については、どう考えているのか。
「それは、1年や2年で出られるわけはありません。僕がマイヨジョーヌを着られるとも思っていない。そういう目標が、次の世代につながるようなチーム作りができればいいんですよ。今からそのための基礎を築き上げて、未来を切り拓いていきたいと思います」
骨盤骨折の重傷を負っても再び、不死鳥として
ツールへの道は遠いかもしれない。
増田はジャパンカップの翌週、骨盤骨折の重傷を負った。栃木県塩谷町で行われたJCLツアー第9戦しおやクリテリウムで集団落車に巻き込まれたのだ。今後はしばらく、戦列から離れてリハビリを余儀なくされる。
しかし、これまで、大きなケガをするたびに蘇り、「不死鳥」と呼ばれてきたのが増田である。若いころの鎖骨と骨盤の骨折、人力飛行機の墜落による腰椎圧迫骨折、レース中の落車で鎖骨や肩甲骨など5カ所を骨折した時も、約3カ月のリハビリを経て復帰した。
不死鳥ならきっと今回もまた大ケガを乗り越えて、ツールに向かってペダルを踏み出すだろう。弟子の岡もそう信じているはずだ。
<前編からつづく>