新チーム発表翌週に骨盤骨折も…「不死鳥」39歳や元F1レーサー片山右京らが本気で「日本初のツール・ド・フランス」を狙うワケ

　自転車ロードレースの世界最高峰、ツール・ド・フランスに日本チームとして参戦し、日本人選手が黄色いマイヨジョーヌ（チャンピオンジャージ）を着てパリのシャンゼリゼを走る日を目指す。そういう気宇壮大な目標を掲げたチームが、自転車レース自体がまだマイナースポーツの域を出ていない日本で、来年から発足することになった。

　その名は〈JCL TEAM UKYO〉。昨年1年目のシーズンが開幕したJCL（ジャパンサイクルリーグ）の初代会長、元F1ドライバーの片山右京（59）が代表を務める。

「マラソン、水泳、バドミントン、卓球と、数えあげたらきりがないくらい、他の競技はみんな世界選手権で勝ってきている。それに比べると、自転車はまだまだ世界の壁、ハードルが高い。そこで、新しい一歩を踏み出すためのチームを作ることを決断しました」

片山右京氏　©JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE 2022

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僕たちの目標は、ツール・ド・フランスに出場すること

　アジア圏最高位のレース、ジャパンカップ・サイクルロードレースの3年ぶりの開催を翌日に控えた10月15日の夜。宇都宮市商店街のイベントスペース〈オリオンスクエア〉に集まった大勢のファンの前で、片山代表は高らかに宣言した。

　片山代表は国内ツアーで〈チーム右京〉を率いているが、新たに立ち上げたJCL TEAM UKYOは本場ヨーロッパ進出を目標とする新チームだ。こちらの主戦場は、世界の強豪も参戦する海外のビッグレースとなる。

「僕たちの目標は、ツール・ド・フランスに出場することです。（サッカー日本代表の）サムライブルーだってワールドカップへ行くのに8年かかった。僕たちもツールへ行くには今から挑戦を始めなきゃいけない。

　スポーツでは必ずできると信じることが力になる。（野球の）大谷翔平選手がメジャーリーグに行ってベーブ・ルースの記録を抜くなんて、信じていましたか？　信じなければ何も始まらないんですよ！」

　熱弁を振るった片山代表は、元東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長、元日本自転車競技連盟会長の橋本聖子参院議員（58）が総監督に就任することも発表。そのビデオメッセージも公開された。

　JCL TEAM UKYOは当初、UCI（国際自転車競技連合）のコンチネンタルチーム（世界で3番目のランク）として海外ツアーに参戦。戦績を挙げながらアジアからヨーロッパへ、よりレベルの高いツアーへシフトし、5年後には世界トップのランク、ワールドチームに昇格することを目指しているという。

今年がラストチャンスだと言われていました

　この片山代表の新チームに自ら選りすぐりの人材を提供したのが、宇都宮ブリッツェンを運営する廣瀬佳正（45）だ。

　JCLプロロードツアー開幕1年目の昨年、ブリッツェンをチーム総合優勝へ導いた清水裕輔監督（41）がJCL TEAM UKYOの監督として移籍。エースで元東京オリンピック日本代表の増田成幸（39）もブリッツェンを退団し、キャプテンとしてこの新チームに加わる。

　増田にとっては現役生活も残り少ない中での突然の移籍。しかも、ヨーロッパに挑戦することに不安はなかったのか。

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