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オリックス山岡泰輔が“能見さん”にキャッチボールを頼んだ理由「残り少ないと思うんで、大事にしていきたい」日本シリーズで現役最後の登板も 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/10/25 11:03

オリックス山岡泰輔が“能見さん”にキャッチボールを頼んだ理由「残り少ないと思うんで、大事にしていきたい」日本シリーズで現役最後の登板も<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今季限りでの現役引退を発表したオリックス能見篤史(43歳)。兼任コーチとして加入した2年間で、山岡泰輔(左・27歳)ら多くの後輩たちに慕われる存在になった(写真は3月の宮崎キャンプ)

 その日、オリックスは3-2のサヨナラ勝ちで日本シリーズ進出を決め、能見もまだあと少し、選手でいられることになった。

「そうですねえ。また日本シリーズに行けるので、それはよかったですけど、全然、僕のことはどうでもいいんですよ」と笑った。

 能見は、阪神からオリックスに移籍後のこの2年間、選手兼任コーチを務めた。

 今年限りでの引退は、1年前に決めていたという。

「昨年、もう1年契約していただいた時に、(球団に引退の)意志は伝えていました。兼任コーチという立場で、自分が投げるよりも、いろいろ選手を見させていただいて、その選手が成長していく姿が非常に嬉しかったので、その時点でもう、選手としての自分の気持ちというのはだいぶ薄れていた。それがたぶん一番の(引退を決断した)理由です」

 昨年以上に今年は、選手としての自分より、他の選手に寄り添うコーチとしての役割を優先しているようだった。

「やっぱり、一番きれいなワインドアップですね」

 登板が予定されていた9月30日のホーム最終戦の試合前練習でも、キャッチボールの最後には座って構え、復調を模索する山岡のボールを何球も受けていた。

 その時点で、残る試合は9月30日のロッテ戦と、10月2日の楽天戦の2試合のみ。首位のソフトバンクを追う中、1敗した瞬間に優勝の可能性が消えるという崖っぷちの状況だったが、中嶋聡監督は、30日はどんな展開であろうと必ず投げさせると、能見に告げていた。

 そして2-2の同点で迎えた8回表、能見がマウンドに上がった。ロッテの4番・安田尚憲に対し、全球ストレート。最後は145キロで空振り三振を奪った。

 その日、ベンチ裏で見守っていた山岡は言った。

「久々に能見さんのワインドアップ見ましたけど、やっぱり、一番きれいなワインドアップですね。僕が今までに見た野球選手の中で、一番」

【次ページ】 「残り少ないキャッチボールの時間を大事に」

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