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東京五輪世代・橋岡大樹はW杯へ「最後までもがきたい」 香川も岡崎も「絶対に準備しておくべき」…そして奮い立った“恩師”の言葉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2022/10/15 17:00
ベルギーで経験値を積む橋岡大樹。東京五輪世代のDFとしてステップアップを誓う
東京五輪での出番、W杯最終予選招集で感じたこととは
――先ほど、東京オリンピックの話が出ました。ああいう大舞台を経験したことで、橋岡選手の中で何か変わりましたか?
「決勝トーナメントのニュージーランド戦で酒井宏樹選手が出場停止になって、出番が回ってきたんですけど、負けたら終わりじゃないですか。国を代表して戦うプレッシャーの重みをすごく感じましたね。ひとつのミスで失点して、日本が負けてしまったら、すべてが台無しになる。日本中をガッカリさせてしまう。その恐怖はこれまでに感じたことのないものでした。そのなかでフル出場して、なんとか勝てたことは、すごく貴重な経験になったと思います」
――カタールW杯アジア最終予選でも、昨年10月にメンバーに選出されました。サウジアラビアとのアウェイゲームに敗れ、窮地に追い込まれたものの、ホームでオーストラリアに勝利してチームは息を吹き返した。橋岡選手は2試合ともベンチに入れませんでしたが、痺れるような状況を目の当たりにして、どんなことを感じました?
「正直、ベンチに入れなかったので、オリンピックほどのプレッシャーは感じられなかった。ただ、ここで負けたらW杯に行けなくなる、というチームの緊迫感はすごく伝わってきました。オーストラリア戦では僕の1個上の田中碧選手がスタメンに抜擢された。すごく緊張していたと思うんですけど、活躍して、そこから日本代表に欠かせない存在になっていった。すごく刺激になりましたね。1発で立場が変わる世界だなと改めて感じましたね。だから、僕にもチャンスはあると思うし、誰にでもチャンスはあると思う。1試合でそういう活躍ができれば自信が付きますし、周りからの目も変わるんだろうなって」
――9月下旬のドイツ遠征のメンバーには、残念ながら選出されませんでした。どう受け止めていますか?
「30人という枠で、僕自身も調子が良くて。森保(一)監督もゲンク戦(9月3日)を視察しに来てくれて、そのゲンク戦も僕は良かったんです。しかも、酒井選手がケガをしていると聞いていたので、正直、あるかもなと期待していましたね。でも、蓋を開けてみれば、酒井選手が復帰して、山根視来選手もいて。その瞬間は悔しかったですけど、それが現状なので。クラブで活躍して、目に見える結果を残さないと、呼ばれないよな、と思いました。
ただ、香川選手、岡崎選手から『最後まで何が起きるか分からない』『絶対に準備はしておくべきだ』と言われました。自分でも、そのことは分かっているので、いい準備をして、最後までもがきたいと思っています」
酒井選手の守備での強さは、すごいモノがあります
――酒井選手と山根選手はまったくタイプが異なりますが、橋岡選手に近いのは酒井選手のほうですよね?
「そうですね。酒井選手の守備での強さは、すごいモノがあります。守備での対応の仕方……酒井選手が長くプレーしていたフランスって、サイドに強烈な選手が多いんですよ。そういった選手に対して、ボールが出る前に近くに寄ってスペースを与えない、といったプレーはオリンピック中に教えてもらって自分でもトライしています。
それに攻撃面での、ここぞというときのダイナミックな攻め上がりも参考にしていますね。もっともっと成長して、もし酒井選手が日本代表から去るときが来たら、自分がその座に就きたいと思っています」