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「5万人超が見つめる舞台で戦って、サッカー選手の気持ちが理解できた」格闘家・那須川天心が“プロデューサー目線”で見るW杯とは
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/26 11:00
スポーツイベントを見るたび、まず運営のことを考えるというプロデューサー目線の持ち主
――プロデューサー目線、なんですね。
那須川 サッカー以外でも、いろんなスポーツやイベントを見ると、運営のことをめっちゃ考えちゃうんですよね。
――6月19日の「THE MATCH 2022」は、東京ドームに5万5000人以上が集まりました。あれだけの大舞台で力を発揮するために、メンタル面で意識していることは?
那須川 すべては自分との戦いですよね。お客さんがいる・いないとか関係なく、自分を出せるか、自分のパフォーマンスを上げることだけを意識しています。「お客さんがたくさん入っているからできない」というのは、リアルじゃない。もちろん緊張はします。でも、良い緊張感です。心拍数が少し上がっているのはわかりますけど、「やべえ、緊張で動けない」という感覚はない。THE MATCHのときは、とにかくすげえ楽しかったです。「この舞台は、全部俺のためのもの」。そう思いながら、試合に臨みました。
見られること、伝えることの大切さ
――「THE MATCH」はPPVの視聴者が50万人を超えました。大会後の反響は、これまでと違いましたか?
那須川 まったく違いましたね。外を歩くと、今でも人が集まってすごいことになりますし、声をかけられない日がない。やっぱり、みんなに注目してもらうってことはデカいなと思いました。格闘技に限らず、スポーツってリアルなものなので、試合が始まってしまえば結果は仕組めない。だからこそ、本番までのストーリーをいかにみんなに伝えるかが大事だなって、痛感しました。
――今回のカタール・ワールドカップは、ABEMAで全64試合が無料中継されます。日本で初めて、すべての試合をスマホでライブ観戦できるワールドカップです。
那須川 僕もABEMAさんの格闘技中継や自分の試合、友達のアスリートが出ている他競技の試合を、スマホで見ることがあります。スマホで視聴できるようになったことで、特に僕ら若い世代にとっては、スポーツがより身近になったと思います。ただし、格闘技もサッカーも、極端なことを言えば、見なくても生きていけるものです。客観的に見て、サッカーに対する日本国民の注目度は、以前と比べれば下がっているように感じます。もう一度、熱を取り戻すためにも、選手や運営側に、一般の人に見てもらうための仕掛けをたくさんしてほしいと思いますね。やっぱり多くの人に見てもらうことが、僕は大事だと思うので。スマホでサッカーを見られることは、その仕掛けのひとつにもなると思います。