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「5万人超が見つめる舞台で戦って、サッカー選手の気持ちが理解できた」格闘家・那須川天心が“プロデューサー目線”で見るW杯とは

posted2022/10/26 11:00

 
「5万人超が見つめる舞台で戦って、サッカー選手の気持ちが理解できた」格闘家・那須川天心が“プロデューサー目線”で見るW杯とは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

スポーツイベントを見るたび、まず運営のことを考えるというプロデューサー目線の持ち主

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Takuya Sugiyama

 神童。幼い頃からこう呼ばれてきた。日本のキックボクシング界を無敗で牽引し、6月の「THE MATCH」では東京ドームに集まった5万5000人以上の観衆を熱狂させた。“キング”三浦知良選手と親交があり、久保建英選手と語り合ったこともある那須川天心選手は、日本サッカーにどんな感情を抱いているのか。誰よりも“魅せる”ことにこだわってきた男が、カタール・ワールドカップへ臨む日本代表へ、熱いエールを送る。

――那須川選手は、サッカーをプレーした経験はありますか?

那須川 サッカークラブの体験会に、何回か行ったことがあるくらいですね。すでに格闘技をやっていて、蹴り方が特殊だったせいか、GKをやることになって……。みんなボールの近くにわちゃわちゃ集まって、楽しそうにやっているのに、「なんで俺だけ1人、ゴール前に立っているんだろう」って、すっげーつまんなくて、やめちゃったんです(笑)。GKの選手って、すごいですよね。少しのミスが失点につながりますし、そもそも防ぐのが難しいシュートもいっぱい飛んでくる。それを決められたら、理不尽な批判までされる。大変なポジションだなって、今でも思います。

――那須川選手のYouTubeチャンネル「格闘家のフリーキックはどこまで飛ぶの?!」や「那須川天心のシュートのスピード測定してみた」という動画を見ると、ボレーでのキックがとても上手ですね。

那須川 地面の上で止まっているボールを蹴るのは全然ダメなんですけど、ボレーは昔からうまかったですね。格闘技のキックとサッカーのキックでは、踏み込みの位置や体の重心・バランスの感覚がまったく違います。だから、止まったボールを僕が蹴っても、全然飛びません(笑)。ただ、浮いたボールがどういうタイミングで落ちてくるか、どのタイミングで蹴ればいいかという空間把握能力は、格闘技のキックと共通するかもしれない。次の瞬間、相手の頭がどう動いて、どのタイミングでガードが空くのかをイメージして、そこに足を出す感覚。だから、ボレーが得意なんだと思いますね。

羨ましくて悔しかったサッカー初観戦

――2017年8月のロシア・ワールドカップアジア最終予選、日本対オーストラリア戦が初めてのサッカー生観戦だったそうですね。当時の感想は?

那須川 正直、悔しかったんです。スタジアムがとても盛り上がっていて、すげえなって思ったんですけど、そのことが羨ましかった。当時の僕は、有名な存在でも何者でもなかったんですけど、格闘技以外のスポーツが盛り上がっている光景が羨ましかったし、悔しかった。いつか僕もこういう舞台で戦いたいなって、ずっと思っていました。

 個人競技とチーム競技の違いはありますけど、格闘技の場合、本当に大きな大会じゃないと、あれだけのお客さんは集まらない。サッカーは、競技を運営する母体がしっかりしていて、選手はプレーに集中できている。これはとても羨ましい環境で、格闘技の世界では、お客さんを集めるために選手がアクションを起こさないといけない。サッカーのお客さんは、選手個人というよりも、チームを応援していて、それが継続的なファンになっているからこそ、大きなスタジアムでも毎試合あれだけの人が入る。これが格闘技とサッカーの、大きな違いだと思います。

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