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「5万人超が見つめる舞台で戦って、サッカー選手の気持ちが理解できた」格闘家・那須川天心が“プロデューサー目線”で見るW杯とは
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/26 11:00
スポーツイベントを見るたび、まず運営のことを考えるというプロデューサー目線の持ち主
――THE MATCHから1カ月後の7月20日には、パリ・サンジェルマン対川崎フロンターレ戦を生観戦していました。THE MATCHの舞台を経験したことで、サッカーの会場への印象は、2017年の頃から変わりましたか?
那須川 変わりましたね。5万人を超える観衆を見ても、「悔しい」「羨ましい」とは思わなくなりました。「俺もやったし、その気持ちわかるよ」みたいな(笑)。僕も5万人以上の人が見つめる舞台に立てたことで、サッカーのトップ選手たちの感覚は理解できた。だからこそ、この先も負けたくないなって気持ちはあります。
――パリ・サンジェルマンには、リオネル・メッシ選手やネイマール選手、キリアン・エムバペ選手という世界的スターがいました。彼らのプレーをどう見ましたか?
那須川 もちろんすごい。違いを生み出す選手であることは、素人の僕にでもわかりました。ただ、いつもより1歩目がちょっと遅れてしまっているようにも見えました。これはサッカーに限らず、来日したばかりの外国人選手特有のもので、時差などの影響によってコンディションがまだ100%じゃないのかなって。僕はサッカーの技術や戦術はわからないので、選手の“動き”を見るんです。ボールへの反応スピード、1歩目の速さは気になりますね。
イブラヒモビッチは格闘家向き
――サッカー選手の中で、「格闘技でも成功するんじゃないか」と思う選手はいますか?
那須川 ズラタン・イブラヒモビッチ選手。喧嘩っ早いし、絶対に俺がゴールを決めるというメンタルは、格闘家向きだと思います。サッカーゲームでは、いつもイブラに苦しめられてきましたから(笑)。海外のサッカーの映像を見ると、外国人選手にはメンタルの強さを感じるんです。パスは回すけど、11人全員に「俺がやってやるよ」みたいな雰囲気を感じます。日本人には「自分が、自分が」というタイプの選手が少ない気がしますね。
――那須川選手とサッカーのつながりで言うと、三浦知良選手と食事をしたそうですね。
那須川 そうなんです。RIZINに出場しているカズさんの次男・三浦孝太選手は、僕に憧れて格闘技を始めたということで、「会いたい」となって。孝太君と一緒に練習した後に、カズさんと食事させていただきました。
――キング・カズの印象は?
那須川 めっちゃ肉を食べますね(笑)。「こんなに食うんだ!」って、驚きました。コンディションを整えながら、55歳で現役として活躍するのは大変なことだと思います。だからコンディション維持に関して、いろいろと質問させてもらいました。あとは、共通の趣味であるサウナについても(笑)。カズさんが今の僕と同じ24歳の頃、まだJリーグも開幕していなくて、日本におけるサッカーは人気競技ではなかったと思います。そんな中をカズさんは切り開いてきた。ゼロをイチにするのは、一番難しいこと。それをやってきた人たちのことを本当に尊敬しますし、カズさんの言葉や考え方には学ぶことがたくさんあると思います。