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プロ野球PRESSBACK NUMBER
スカウトに聞く「甲子園未出場もドラフト“将来性重視の高校生”4人」 左がイヒネなら右は大砲候補「最も楽しみな」150キロ左腕とは
text by
間淳Jun Aida
photograph byYuki Suenaga
posted2022/10/14 17:00
毎年驚きの指名が起こるドラフト会議。スカウトがひそかに注目する「甲子園未出場の高校生」は誰?
安西投手が本格的にサイドスローに転向したのは、高校2年になってから。当初は制球にやや難があったが、3年になってからは安定感が増した。スライダーには切れがあり、直球との組み合わせが効果的なチェンジアップに磨きをかければ投球の幅は一気に広がる。スカウトは、短いイニングの起用であれば、プロ入りして早い段階で登板のチャンスもあると話す。
「最も将来性が楽しみ」な左腕は北海道にいる!
甲子園に出場していない左投手で「最も将来性が楽しみ」と話したのは、東海大札幌の門別啓人投手だった。
身長182センチ、体重85キロ。最速150キロを誇る本格左腕だ。プロのスカウトが惚れ込む理由を説明する。
「投手の基本となる直球の質が魅力です。高校生の左投手で最速150キロと球速が注目されがちですが、伸びがあってストライクゾーンで勝負できる直球です。フォームにクセがなく、ゆったりとしなやかに腕を振っているので、打者はより球速を感じると思います」
スカウトをうならせる直球に、スライダーと緩いカーブを織り交ぜるのが門別投手のスタイル。奪三振率が高いのも特徴で、今春の札幌支部予選では札幌新陽相手に20個の三振を奪った。この試合では、右打者の外角に沈むツーシームも投げていた。スカウトの目を引く理由は「完成型が、まだまだ先にあるところ」だという。
「スカウトはドラフト候補の選手がプロに入った後の姿を想像します。門別投手は直球も変化球も完成度が高いとは言えません。それはマイナス評価ではなく、まだまだ伸びる要素があるということです。体をつくって投球フォームが安定すれば、さらに直球の球速と質が上がると思います。変化球を投げる時に直球と同じように腕を振れるのも長所です。球速を落として打者のタイミングを外すようなツーシーム系の球を投げる時の腕の振りを見ると、変化球の習得に苦労しないタイプに見えます」
甲子園出場は名前や実力を広く知ってもらう機会になる。ただ、ドラフトで上位指名される加点になるとは限らない。高校生を見るスカウトの目は「今」ではなく、5年後、10年後先の「未来」に向いている。
<大学・社会人編につづく>
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