身長180センチ、体重100キロのどっしりした体型から、高校通算53本のアーチをかけた。フルスイングへのこだわりと自信を口にしているが、スカウトは「力任せに振ってはいない」と指摘する。

「大きく強くバットを振っていますが、強引さがありません。体を目いっぱい使っているわけではないので、タイミングを崩されても対応できる余力が残ったフルスイングといえます。それでも十分な飛距離を出せるのが内藤選手の特長です」

日本航空石川の内藤鵬内野手　©PPAB-lab.

　内藤内野手が打球を遠くに飛ばせる最大の理由は、スイングスピードにあるという。今シーズン、日本人最多記録を更新する56本のホームランを放ち、三冠王も獲得したヤクルトの村上宗隆内野手を引き合いに出し、こう話す。

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「村上選手のスイングは力強いですが、決して目いっぱいバットを振っているわけではありません。桁外れのスイングスピードとパワーがあるので、これくらいのスイング幅でも十分にスタンドまで運べるという感覚があるように見えます。思い切りスイングすれば、その分確実性が下がるので、ホームランを打てる飛距離を維持しながら高打率も残せたわけです。内藤選手は、村上選手と同じようなスタイルを確立できる可能性を感じさせます」

長身ながら150キロ近い剛腕サイドスロー

　投手もプロで化ける将来性を重視して、右腕と左腕それぞれ1人ずつ期待する投手を挙げた。

　右投げは常葉大菊川の安西叶翔投手。

常葉大菊川の安西叶翔投手　©PPAB-lab.

　身長186センチの長身から、サイドスローで150キロ近い直球を投げ込む。高校最後の夏は4回戦で敗退。野球部内で新型コロナウイルスの感染が広がり、主力の大半が濃厚接触者と診断された。初戦で8回無失点、1つの四球も許さなかった安西自身も4回戦はベンチから外れた。不完全燃焼で高校野球に幕を下ろしたが、スカウトの評価が下がることはなかった。

「手足が長く、力強さと柔らかさを兼ね備えています。決して力を入れているように見えないのに140キロ台後半の球速が出るのは、力の抜き方が分かっているから。フォームを見ても発展途上なのは明らかで、まだまだ伸びる要素があります」

　さらに、球威のあるサイドスロー投手は、需要が高まると予想する。今シーズン、プロ1年目で守護神を務めた巨人の大勢投手が活躍したためだ。

「同じ145キロの球でも、オーバースローとサイドスローの投手の球筋は全く違います。サイドスローやアンダースローの投手の軌道は、マシン打撃で練習しきれないんです。特に、中継ぎや抑えは試合中に対戦機会が1度しかないケースがほとんどなので、打者が対応するのは、かなり難しくなります」

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